米紙「ワシントンポスト」は11月7日、「米中関係が深い相互不信に」と題した記事を載せた。その内容を以下に紹介する。
1年前、アジアの正式訪問で中国に訪れたオバマ大統領は、「米中両国はとても重要な深い関係で結ばれている」と話した。米中は地球温暖化問題や核拡散防止、世界経済など世界共通の責任をともに担うパートナーであった。しかし1年後の今、オバマ大統領が意図的に中国を避けてアジアを訪問中だということは火を見るより明らかだ。「パートナー」や「共同責任」だと言っていたのが、「相互不信」や「失望」に変化した。
この1年の間に、オバマ大統領はチベット独立を唱えるダライ・ラマ14世との会談、台湾への武器売却など、中国政府の気持ちを逆なでするようなことばかりしてきた。また、韓国海軍の哨戒艦「天安号」沈没事件で、米国は中国が朝鮮に圧力をかけてくれることを期待したが、無駄骨だった。中日の釣魚島衝突事件では中国の強気な態度を案じている。他にも、タイヤや自動車部品、鶏肉などの貿易問題、中国が人民元の為替レートを不正操作しているのではないかと言う疑いなど、両国が抱える問題は山積みだ。
専門家は「この1年は両国にとって、大きすぎる期待と現実との間に矛盾を感じた1年だった」と評した。今だかつて無いほど、米中関係は落ちるまで落ちていると言える。
米中関係が悪化した背景には、中国が金融危機を上手く切り抜け日増しに成長し、更なる利益を国内ないし世界で手に入れようとしているという実態がある。専門家いわく、「今回の関係の悪化は、両国には直接関係の無い事件で、それぞれが取らなければならない立場が違う為に大きな誤解を招いてしまった結果である。」両国はお互いの言動に逐一、気を揉んでいるのだ。米ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の中国専門家であるケネス・リバソール(Kenneth Lieberthal)氏は「これは今まで止まることなく発展してきた結果であって、決して単独の原因がある訳ではない」と述べた。
中国人民大学米国研究センターの時殷宏主任は米国の中国に対する要求は中国の利益を損なうものであると指摘している。「オバマ大統領は就任時、世界の中でも中国をより重要視することを約束した。しかし、中国政府はオバマ大統領が中国から得ようとしたものはあまりにも大きすぎることに気付いた。」約束の代償は大きかったという訳だ。
中国現代国際関係研究所米国研究所の袁鵬則所長は「中国はオバマ政府にとても失望している。オバマ大統領は『チェンジ(変化)』を成し遂げ、大国同士の協力関係に新風を巻き起こすのだと思っていた。しかし、本質的には今までの大統領と何が違うと言うのだろうか」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月12日