古来より、戦は偽りをいとわない。嘘を本当のように偽り、混乱の中で勝利を勝ち取った戦例はいくつもある。しかもそこにはいつもドラマ性が満ち溢れている。
第2次世界大戦中、日本軍は自転車を戦車に見せかけ、英国の守備軍を脅して撤退に成功したり、また、夜間米軍のジャガイモに邪魔されて戦闘のタイミングを失い、苦い思いをしたりもしている。
1941年12月、山下奉文中将率いる日本軍第25軍は、戦車200台を集め、マレー半島で猛烈な「戦車攻撃」を行った。日本軍はその快進撃によりわずか一カ月で、マレー半島のほとんどを占領した。しかしその猛烈さゆえ、燃料不足を引き起こし、更に損傷した戦車も、修理できない状態が続いていた。そこで、日本軍の「戦車攻撃」は一時停止を余儀なくされた。
山下はその解決策に頭を痛めていた。ある日、彼は自転車部隊で一人の兵士がタイヤの付いていない自転車に乗り、その金属の車輪が路面にぶつかって「ガラガラ」と音を立てているのを見かけた。彼はすぐに、その音が戦車のクローラーが地面を走る時の音に似ていることに気付き、一計を案じた。彼は軍の自転車部隊全ての自転車のタイヤを剥がすよう命令し、それを使って、夜の暗闇にまぎれながら、新たな「戦車攻撃」を開始した。
真夜中、砲雷が鳴り響くとともに、英守備軍の陣前には「ガラガラ」という音が響いた。英軍は慌てふためき、大声で「戦車だ」と叫びながら、撤退した。こうして、日本軍はいとも簡単にマレー半島を占拠したのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月7日