文=コラムニスト 兪天任
戦後から現在に至る日本社会で、自衛隊はやはり1つの弱者集団であり、その地位は中国男子サッカーナショナルチームと大差なく、だれでも随意に罵ることができるため、自衛隊は他の人とぶつかると常に損をする。「鳳凰網」が伝えた。
実は、今の自衛隊の社会的地位とイメージは以前よりずっと良くなった。ノーベル賞作家の大江健三郎氏は1960年にこう語っている。「どうして自衛隊に行く若者がいるのだろう。彼らは自衛隊に参加することが恥辱だと知らないのではないか」
当時の自衛隊に対する社会的イメージはそのようだった。
災害救援活動は職責の1つ
社会的イメージが変わったのは95年の阪神大震災後。戦後初めての大規模な自然災害であり、自衛隊は救援活動で極めて大きな役割を果たした。震災後、自衛隊のイメージは著しく好転し、いわゆる自衛隊は災害時に仕事をする専門の「救援隊」と考える若者もいるほどだ。
実際にそうかどうかにかかわらず、いずれにせよこのイメージを払うのは容易ではなく、そのため自衛隊は「災害救援出動」、ということに格別積極的であり、不満はない。
ただ、ネット上では「自衛隊の救援は力不足」とか、さらには「自衛隊は命令を拒否した」といった言葉も少なくないが、これは一体どういうことなのか。
善意の立場から出動しているとすれば、それは日本の災害救援体制と自衛隊制度への無知による誤解だと言える。自衛隊は自ら行動する権限を持たず、災害救済活動に参加するには政府または自治体の要請があって初めて幕僚長が命令を出す。
阪神大震災では、兵庫県知事は自衛隊出動を要請した時間が遅すぎたことから、何度も追求された。これを教訓に、現在では一般に自然災害が起きると即刻、自衛隊に出動を要請しており、今回もそうだった。
災害救援は自衛隊の職責の1つであり、その役割が当然のことであるため、日本のメディアは災害について報道する際にどんな感動的な出来事も称賛しようとしない。北沢俊美防衛相は3月19日の記者会見で、自衛隊は救援活動に延べ10万人を出動させ、直接救出した被災者は2万人近くに上ると強調。だが、どのメディアも報道ではこの数字を引用しておらず、多くがより注視したのは救援活動での自衛隊の過失だった。