カーター元米大統領率いる「エルダーズ」が26日午前、朝鮮の平壌国際空港に到着した。同国に3日間滞在し、朝鮮半島の緊張緩和を図る。
「エルダーズ」のメンバーとしてアハティサーリ前フィンランド大統領、ロビンソン前アイルランド大統領、ブルントラント元ノルウェー首相が同行。空港では李勇浩外務次官が出迎えた。
カーター氏は訪朝を前に「今回の訪問は朝鮮上層部の招待によるものだ。訪問が朝鮮半島の緊張緩和、南北対話の促進に役立つことを希望する」と表明。「長期間の経済制裁により朝鮮経済は深刻な打撃を受けている。その代償を支払っているのは一般の民衆だ」と批判した。また、対朝食糧援助の強化を各国に求めた上で、食糧援助すでに中断している韓国を特に名指しした。アハティサーリ氏は「朝鮮と韓国の間にはなお多くの猜疑がある。膠着状況を放置するのは余りに危険だ」と述べた。ブルントラント氏は食糧不足への懸念を表明し、長期的な食糧確保・医療衛生問題について朝鮮側と話し合う意向を示した。
カーター氏は朝鮮の最高指導者である金正日総書記、金正恩朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長との面会も求めている。韓国メディアによるとカーター氏は米政府のメッセージは携えておらず、韓国系米国人が朝鮮側に拘束された事件についても言及しないつもりだ。だが米メディアは朝鮮がカーター氏に対して友好的であることから、解放に向けて影響力を発揮できる可能性があると見ている。カーター氏は昨年8月に訪朝した際、同じく朝鮮に拘束されていた米国人ゴメス氏の解放に成功した。また、1994年には平壌で金日成国家主席(朝鮮労働党総書記)と面会し、ジュネーブ核枠組み合意の締結と朝韓関係の改善を後押ししている。
朝鮮外務省高官は26日、人民日報の取材に対し「金正日総書記がカーター氏一行と面会するかどうかはまだ明らかではない」と表明した。
「人民網日本語版」2011年4月27日