清華大学中米関係研究センター 趙可金副主任
オサマ・ビンラディン氏の死により、米国の10年に及ぶテロ対策の結果が示された。特に、景気回復、雇用拡大、外交の困惑など多くの面で苦境に陥る中、大統領選挙で再選を目指すオバマ米大統領にとっては大きな弾みとなりそうだ。ところが、進展は米国人を楽観的にさせるとも限らない。
世界のメディアがビンラディン氏の殺害をどんなに称えても、厳重体制で敵の侵攻を待ち構えても、米国はテロ組織アルカイダの攻撃対象になるだろう。テロ組織が米国で大きな行動を起こせないとしても、米国の海外や関係の深い戦力の目的が主な攻撃対象になる可能性もある。
ビンラディン氏はサダム・フセイン氏と異なり、世界に熱狂的な支持者がいる。今回のビンラディン氏殺害は支持者にとってあまりにも突然の出来事で、事実の確認が早く、西側メディアが大々的に報じるほど、テロ組織が報復に出る可能性が高まり、その時期も早まる。報復目的のテロであるため、ターゲットはより象徴的で的が絞られ、駐外国大使館・領事館、行政機関、政治家がまず狙われるだろう。さらに、綿密な計画と組織がないため、この攻撃には一切を顧みないいわゆる「聖戦」という特徴が現れると見られる。
「ポストビンラディン時代」を前にし、米国の準備がまだ整っていないばかりか、世界も心の武装ができておらず、今後のテロ情勢は予断を許さない状況だ。米国の新たなテロ対策は、多くの予想外の出来事に直面している。