■テロとの戦いは「ポスト・ビンラディン時代」へ、報復を警戒する欧米諸国
ブレナン氏はビンラディンの死はアルカイダにとって「戦略的打撃」だが、致命的なものではないと指摘した。次期国防長官に任命されたパネッタCIA長官も2日、ビンラディンが死んでもアルカイダは依然危険との考えを示した。
米国がビンラディン射殺を発表した同日、カイロ空港では警戒が強化された。エジプト・ピラミッド戦略研究センターのテロ対策専門家は取材に対し「テロ活動が終息したと断言するのは早すぎる。新たな始まりに過ぎないかもしれない」と指摘した。スエズ運河大学の政治学教授は「ビンラディンの死と一部アラブ諸国の社会動揺との間に必然的なつながりはなく、これは偶然の事件に過ぎない。だが米国はアラブ世界の対テロ同盟国に対して、以前のように信頼し重んじることはないかも知れない」と強調した。
エジプトの中東問題専門家、ハシム氏は「アルカイダのイエメン分派に代表されるテロ組織は、近年基本的に独立活動の状態にある。その考えや行動形態はビンラディン時代よりも複雑で変化に富んでいるうえ、最近では中東地域で政治情勢が動揺しているため、今後の情勢を予測するのは一層難しくなっている」と指摘した。
米国がビンラディン射殺を発表すると、欧州諸国の一部は以前から欧州で単独行動していたテロリストによる報復を懸念し、次々に防備を強化している。キャメロン英首相は3日に国家安全委員会会議を召集。「英国はアフガニスタンおよびパキスタンとの緊密な協力を継続し、アルカイダやタリバンによるテロの脅威に対処していく。だがビンラディンの死を理由に英軍のアフガン撤退のタイムテーブルを変更する必要はない」と表明した。英国政府はすでに全ての在外公館に安全対策を点検するよう命令するとともに、警戒を保つよう在外公民に求めている。ドイツのウェスターウェレ外相は「テロ活動の反動の可能性は排除できない。警戒を保たなければならない」と警告した。
欧州の一部空港、在外公館も警戒レベルを引き上げている。報道によるとイタリアの安全当局は潜在的な危険のある同国の在米、在パキスタン機関の警備強化を決定した。
「人民網日本語版」2011年5月4日