福島県吾妻総合運動公園体育館の避難所で被災者を慰問する温家宝総理(5月21日)
「福島民報」21日の関連報道
中国国務院の温家宝総理は5月21日、東日本大震災の被災地、宮城、福島などを訪問し、被災者を慰問。中国は日本の復興再建を全力で応援すると表明した。
「福島民報」は21日第1面の3分の2の紙面を使って「中日韓首脳会議」を報道した。一連の報道のトップで温総理が日本農産品を応援すると発言したことを取り上げている。この扱いは、中国のこの態度表明が日本人の心に与えた影響の重みを表すものといえる。中国は日本農産品の重要な輸出市場であり、日本が何とかして手に入れたい「切り札」である。記事の真ん中に、中日韓首脳が吾妻総合体育館で現地のサクランボを食べる写真を掲載しており、これが非常に目立っている。写真には、温家宝総理と菅直人首相がサクランボを口に入れる場面が、最も際立って扱われている。編集者が最も伝えたい内容なのだろう。その下に、小さく中日韓首脳が21日に東京で行った晩餐会の模様の写真、温家宝総理がほほえんで来賓に向って手を振って挨拶し、最も生き生きとした表情で写っている。特別報道の右下に、中日韓首脳の21日の訪問経路があり、日程、時間などの情報を表示しており、これもかなり目を引く。第1面だけではなく、「福島民報」の社会版も二面に拡大して、それぞれ2分の1の紙面で今回の訪問を報道している。「中韓首脳と被災者たちが率直に交流」「市民の熱烈な歓迎」「両首脳、心からのねぎらい」などのテーマが踊り、たくさんの中韓首脳が被災者と親しく交流する様子の写真が添えられている。そのうちの一面の大見出しは今回の訪問に対する分析、福島の被災者は、外国リーダの今回の訪問が、日本政府がもっと正確で詳しい原発事故の情報を発信するための、一定の「外圧」になることを望んでおり、現地住民の今回の訪問に対する期待値の高さを表している。
記者も現地の住民への取材を通し、温総理の今回の訪問に対する彼らの印象、感想を感じた。現地の葉根青さんによると、中日韓首脳の被災地訪問ニュースは、当日のテレビで重要なニュースとして繰り返し放送され、中日韓三国がしっかりと協力し、困難な局面を乗り越えようとする印象を与えたという。報道では、温家宝総理の登場場面が明らかに多く扱われ、日本メディアの中国に対する「特別な関心」が伺える。彼女は温総理が訪問したことによって、もっと多くの被災地へ訪問、観光する中国人が増えたり、中国人ボランティアが来てくれることを望んでいるという。艱難を共にすることで、中日の感情が深まると。高橋重夫さんは温総理に対する印象を「とてもまじめで」「とても親切で」「真心を感じる」人だといい、温総理が中国に起こったことのように、日本に対しても被災者と一緒にがんばろうという気持ちが伝わり、十分に被災者の悩みをわかろうとしてくれたという。こうした日本人被災者に対する「関心」が日本人の中国に対する好感を大きく好転させ、中日両国がこのチャンスをきっかけに両国の関係を改善することになる。