創設から10年となる今日、上海協力機構は依然として厳しい地域安全保障情勢に直面している。ビンラディン射殺は、オバマ米大統領の支持率を一時的に高めた以外には、世界の反テロを象徴する段階的成果に過ぎない。ビンラディンの死後もテロリズムは消滅していない。実際、中央アジアやその隣接地域の反テロは再び厳しさを増している。国際テロは組織再編へと向い、中央アジアのテロ活動は「本土化」の傾向を強め始めている。米国とNATOはアフガニスタンでの軍事活動を強化し、2014年の撤退に向けて積極的に準備を進めている。アフガニスタンの治安の行方は不透明さを増しているし、テロリストの一部はアフガニスタン北部、さらには国境を越えて中央アジア諸国へ「還流」し、地域の安全保障を脅かしている。このほか、中央アジアと中東は経済・文化的つながりが緊密で、国情も比較的似ている。中東情勢が中央アジアの安定に与える影響は、一部の中央アジア諸国が選挙期間に入ると、より直接的になるだろう。こうした背景の下、上海協力機構の安全保障協力はさらに多くの試練に直面することになる。
現在上海協力機構は軍事協力を強化し続けている。反テロ合同演習の制度化を段階的に進めているほか、地域反テロ機構理事会の設置によって反テロ軍事協力制度の基礎を固めた。だが軍事協力の目的は反テロ、および地域の平和と戦略的安定性の維持に限定されている。これは上海協力機構の趣旨と性質によって決定づけられている。
「人民網日本語版」2011年6月16日