米国防総省は24日、2011年版の「中国に関する軍事・安全保障年次報告書」を公表した。報告書は、強大かつ繁栄、成功、国際規範を強化し、世界の安全と平和を増進する中国を歓迎すると強調し、中国による国連平和維持活動(PKO)、海賊対策、人道主義救助などへの参加が益々増えるようになると認めつつも、中国軍の近代化について、外交的優位性を得たり、問題解決に有利な能力として利用する恐れがあると懸念を示した。
米国防総省のマイケル・シファー次官補代理は同日の記者会見で、中国の軍事投入の速度と範囲について、中国が追究している能力は地域の軍事バランスを崩し、誤解と誤算を増すリスクになるとともに、地域の緊張情勢と焦燥感情につながる可能性があると米国はみていると述べた。
84ページに及ぶ報告は、海峡両岸(大陸部と台湾)関係の改善についても触れ、中国は台湾有事への対処を中心に軍事力を拡大し、台湾の独立を阻止し、北京式に問題を解決するよう台湾に影響を与え、衝突が起きた際、米国の台湾への支援を阻止する可能性があると指摘。さらに、両岸の軍事バランスは大陸に有利に傾く傾向が続いているとの見方を示した。
また、中国軍は過去10年間の近代的な装備や科学技術への投資により、すでに多くの近代化システムが成熟し、向こう10年で中国軍は多くの複雑な新兵器、新装備を生み出し、共同作戦やインターネットを中心とする戦争など新しい作戦概念を実施するだろうとも強調。
軍事の透明度に関しては、中国の「進歩は限定的だが改善はされている」とし、「強化した軍事力を中国がいかに使用するかが依然として不確定だ」と指摘。中国の軍事力拡大は共通の目標において中米の協力を促進できるが、誤解と誤算を増すリスクもある。両軍の関係強化は中国の選択に影響を与えたい米国の戦略の重要部分だ。この戦略を後押しするため、米国は今後も中国軍の発展と戦略を監視し、盟友と共に「安定かつ安全な東アジアの環境維持」を継続していくとした。
2011年版の報告は昨年の報告に比べ、中国の海上戦略と対外軍事交流という2つの「特別なテーマ」が新たに加わり、中国の空母建造計画、対艦弾道ミサイル、航空機の発展に関する情報も盛り込まれた。
シファー次官補代理は記者に対し、中国側はこの報告を、米国が中国と議論したい一連の問題とみるべきで、米国側はこれらの問題を理解することが非常に重要だと認識していると述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月25日