キッシンジャー氏の新著「中国論」刊行によって、中国に関する議論が再び活発化している。中米国交樹立の過程で重要な役割を果たしたキッシンジャー氏は、中国と米国の協力を「全世界の平和と安定における重要な要素」と表現している。キッシンジャー氏は中米両国の「冷戦」は、太平洋両岸の進歩と発展を一世代の間停滞させるだろうと指摘する。「現在の世界では、核拡散、環境保護、エネルギー安全保障、気候変動などの問題は『グローバルな協力が必要だ』」。
キッシンジャー氏の観点を受け入れることは、「冷戦」思考の完全な放棄を意味する。だが米国のリーダーにとっては恐らく難しいだろう。1945年以来の単独覇権の放棄を意味するからだ。米戦略予算評価センター(CSBA)のアンドリュー・クレピネビッチ氏は、米国は西太平洋の支配権をめぐり中国と競争するか否かを決定すべきだと指摘する。競争を放棄するのなら、世界の軍事バランスに本質的変化が生じたことを認めるべきだし、競争をするのなら「いかにしてより効率的な競争をするか」が問題となる。
数十年間の冷戦経験がある以上、こうした対立がより深刻な衝突を招き、世界の平和を脅かすことはないだろうとの考えもある。だが米国では来年大統領選が行われる。頭の悪い共和党候補者が勝利した場合、こうした楽観的な予言は不正確なものに変わるだろう。
「人民網日本語版」2011年9月13日