南中国海の領土紛争の話し合いによる解決に向けて最近中越両国の発表した協定と共同声明に、一部の国が強く注目している。フィリピンのアキノ大統領は、中越の二国間協定では「紛争は全面的に解決」されないとして、ASEANの多国間協議で解決すべきだと抗議した。インドメディアは南中国海でのベトナムとの石油・天然ガス共同採掘の今後について戸惑う一方で、ベトナムがジレンマに陥っていることを「憂慮」してもいる。人民日報傘下の国際情報紙・環球時報が伝えた。
「タイムズ・オブ・インディア」紙は16日付で、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長の訪中時に両国が「中越共同声明」を発表したことについて、「南中国海の係争区域でのインドとの共同開発計画を撤回するよう、中国政府がベトナム政府に圧力をかけていることを示唆するもの」と報道。「中国は事実上、南中国海の係争区域に介入するなとインド企業に警告している」との「中国能源報」の記事を引用している。また「中国側は南中国海の主権問題で、ベトナムへの強硬姿勢をやや和らげており、係争の細部と解決案についてベトナム側と話し合うつもりだ」とも指摘している。同紙は17日付記事でも「ベトナムは中国側の圧力を受けたことによって、インド企業との共同開発計画を破棄すべきかどうか検討しているのかもしれない」と指摘。その一方で「ベトナムはジレンマに陥っている。インドとの共同開発契約を本当に破棄すれば、他国とのエネルギー協力計画にも悪影響が及ぶ。だが、最大の貿易相手国である中国の圧力を無視するのも容易なことではない」と報じている。
カルカッタの「テレグラフ」紙は17日付で、現地アナリストの話として「一部中国メディアの報道は中国の要求を反映したものかもしれないが、それを実際の中国政府の立場と見て宣伝すべきではない」と報道。インドは共同開発計画をあきらめるべきではないとしている。同紙はまた「現在、中印両国ともにエネルギーを切実に必要としている。世界のいくつかの場所で両国間の競争や協力が行われているのはこのためだ」としている。
「フィリピン・デイリー・インクワイアラー」紙は中越協定について「両国関係改善の最新の一歩」と報じた。だが、フィリピン大統領は「衝撃」を受けている。「フィリピン・スター」紙(16日付)によると、アキノ大統領は外国人記者クラブと開いたフォーラムで、南沙(英語名:スプラトリー)諸島問題について、二国間ではなく多国間の話し合いで解決することを呼びかけたうえ、この問題について近く来訪するベトナムのチュオン・タン・サン国家主席と話し合う考えを表明。「中国の主張する南中国海の『9点破線』が国連海洋法条約と整合しないという基本的問題は依然残る。最終的に衝突によって解決せざるを得なくなるまで事態をエスカレートさせないことが重要だ」と述べた。
アキノ大統領は、第三国を後ろ盾に南中国海で利益を取るとの甘い夢に依然溺れている。AP通信によると17日午前にフィリピン軍と米海軍の約3000人が、フィリピンで2週間の演習に入った。米海軍側は中国も他のどの国も仮想敵ではないとしている。フィリピン軍報道官によると、米国とフィリピンの海兵隊は同国西部パラワン州と中国の南中国海に面する「敵の砂浜」を攻略目標とする、急襲シミュレーションも予定している。
「人民網日本語版」2011年10月20日