フィリピン・スター紙の22付報道によると、フィリピン政府は中国漁船への衝突後の控え目な姿勢を一変させ、無人ボート25隻の返還を拒絶したうえ、「法手続きにのっとり処理する」として、第三者の調停が必要との考えを示している。人民日報傘下の国際情報紙・環球時報が伝えた。
中国の学者・蘇浩氏は23日、環球時報の取材に「軍が先に謝罪したのに、政府がそれをひるがえすというのはフィリピン側の矛盾した心の表われだ。第三者による調停を打ち出したのは、この機会を利用して南中国海問題に他国が介入するモデルを築く企みを示している」と指摘した。
南沙(英語名スプラトリー)諸島・礼楽灘(英語名リード・バンク)沖で18日、中国の大型漁船1隻をフィリピンの軍艦が妨害し、漁船の牽引していたボート25隻を拿捕する事件が起きた。フィリピン海軍総司令官は翌19日「単なる事故だ」として、中国側におわびの意を表した。フィリピン外務省も同日「事件の結果、中国漁船からわれわれのもとに小舟が残された」として、返還を検討する考えを示した。だが在フィリピン中国大使館は20日、フィリピン軍当局からの謝罪はまだ伝えられていないことを明らかにした。中国外務省の姜瑜副報道局長は20日、フィリピン側に中国政府の立場を伝えたうえで、ボートの速やかな無条件返還を要求したことを明らかにした。
だがその後の数日間で、フィリピン政府の姿勢は強硬になった。デルロサリオ外相は20日、「中国漁船とボートがフィリピンの海域に侵入したのだから、謝罪する必要はないし、謝罪もしていない」と述べた。
「人民網日本語版」2011年10月26日