第4に、G20は多国間枠組みであり、それ自体に資金調達の仕組みはない。このためユーロ圏の救済には、やはり米国、日本、BRICSおよび主要各国の協調と合意が必要であり、中国がG20内で単独で大役を担うのは現実的でない。
第5に、ユーロ圏はアジアと中国に対する姿勢を適切に修正する必要がある。長年アジアは欧州に接近しようとしてきたが、大きな成果は得られなかった。世界や地域の協力における中国の取り組みは目立たずも粘り強いものだったが、中国・EU関係は常に「経熱政温」で、つかず離れずだった。現在ユーロ圏と中国の間に資金拠出問題について具体的な協力枠組みはない。EUの政治家の発言は「世界の60%の外貨準備を持つ中国が欧州への投資を決定するのなら、われわれに反対する理由はない」とか、「国際収支黒字が最大の経済体の1つである中国のユーロ圏への資金拠出は、中国自身にも欧州にもプラスだ」とかいうものだ。こうした発言を聞くと、トラブルを抱えているのは一体中国なのかユーロ圏なのかわからない。だが、中国の貿易黒字や外貨準備高の増加に疑問を呈しているらしいことはわかる。
第6に、G20は代表性を備え、世界銀行とIMFをカバーしている以上、ユーロ圏救済にしても、国際的合意を踏まえた国際的支援であるべきだ。中国は義務から逃げないが、いたずらに過大評価されるべきでもない。中国は現在GDPと貿易で世界の約10%を占め、IMFの出資割当額は6%余り、世界銀行の出資割当額は5%足らずだ。こうした中、ユーロ圏の金融安定枠組みに調達の必要な5600億ユーロの半分をIMFを通じて調達するとして、中国が米日や他のBRICS諸国との調整を踏まえずに無条件で数千億ユーロを拠出すると推測するのは、適当でないだろう。
欧州債務危機が今日の事態まで悪化したことを受け、年老いた欧州は心構えを正し、厳粛に危機に向き合い、自己省察すべきだろう。
「人民網日本語版」2011年11月4日