米国務長官として半世紀以上ぶりにミャンマーを訪問したクリントン長官
悠久の昔からミャンマーは中国の同胞・兄弟だった。中国の戦略にとって極めて重要なのは、ミャンマーが南中国海とマラッカ海峡を避けて、中国南西部からインド洋へ直接抜ける近道であるということだ。昨年11月、ミャンマーの政局に変化が生じた。西側はこの機会を極力利用して、親中国のミャンマーを「中国路線」から引き離そうとしている。ミャンマーの新大統領は就任後間もなく、中国とのミッソン水力発電所協力プロジェクトを一方的に停止した。西側メディアは「テイン・セイン大統領がなぜこのような驚くべき決定をしたのか誰も知らない。背後で誰かが操っているのかも知れない」と報じた。クリントン米国務長官はこの決定を直ちに歓迎し、1カ月後には同国訪問を発表した。(文:李希光・清華大学国際伝播研究センター主任。「環球時報」掲載)
これは米国の新アジア政策における重要な行動だ。イラクとアフガニスタンでの戦争終結後、米国は戦略の重心を中国周辺へシフトしている。標的は中国だ。
今年9月12日、クリントン長官は中国を避け、中東と中央アジアからアフガニスタン、パキスタンを経由してインドへ到る「新シルクロード構想」を打ち出した。構想は「トルクメニスタンの石油・ガス田がパキスタンとインドの高まり続けるエネルギー需要を満たし、アフガニスタンとパキスタンに相当の貿易収入をもたらす。タジキスタンの綿花がインドで綿布になる。アフガニスタンの家具や果物がアスタナ、ムンバイ、そしてさらに遠く離れた場所で売られるようになる」としている。
これと同時に、オバマ大統領は「環太平洋経済連携協定」(TPP)を始動した。このいわゆる「21世紀の貿易条約」は、完全な市場経済国ではないとの理由で世界最大の貿易国である中国を除外する一方で、自由市場として中国に遠く及ばないベトナムを引き入れている。オバマ大統領は来年夏以降、イラクとアフガニスタンの戦争終結で浮いた軍事費をアジア太平洋地域にまわすことも決定した。