元々平穏とは言えない黄海で12日また問題が起きた。「中国漁民が韓国海洋警察官を刺殺」とのニュースは韓国メディアを騒然とさせ、青瓦台(韓国大統領府)にも驚きを与えた。青瓦台は「韓国海域で違法操業する」中国漁民への取り締り策を約束すると共に、駐韓中国大使を呼び出して強い不満を表明した。だがこの対応は「戦争で戦争に対抗し、野蛮で野蛮に対処する」との韓国メディアの要求には遠く及ばぬものだった。韓国・聯合ニュースは「長年続いている中国との漁業紛争でも、中国漁民が韓国の警察官を直接刺殺するという悪質な事件は初めてだ」と報じた。「中国漁船にいつまで侮られ続けるのか?」----。韓国メディアの詰問に、韓国海洋警察は近年で最も厳しい姿勢を表明した。中国側船員が暴力で抵抗し、警察官の生命が脅かされた場合、発砲・射殺を許可することを検討するというものだ。これは感情的な言葉のように聞こえるが、本当にそのような事態になれば、中韓関係はより危険な瀬戸際へと追いやられるだろう。人民日報傘下の国際情報紙・環球時報が伝えた。
「中国漁民が韓国海洋警察官を刺殺」とのニュースへの中国社会の反応は様々だ。インターネット上では「中国漁民は今回、余りにも常軌を逸してしまった。どうあろうとも韓国海洋警察官を殺すのは過激な行為だ」との声もあれば、「現時点では韓国メディアの一方的な言い分しかなく、事件の真相はまだはっきりしない」との声もある。漁業紛争に詳しい識者は環球時報の取材に「海上紛争の最大の難点は証拠採取だ。一方がビデオや写真で完全に記録していない限り、各自が主張を譲らなくなった場合、真相解明は難しい」と指摘した。韓国紙・京郷新聞は駐韓中国大使が12日、事態の速やかな収拾のため、韓国側に映像証拠の提出を促したことを報じた。
海外メディアにも韓国世論とは異なる論調が見られる。仏紙「20 Minutes」は「韓国・聯合ニュースは06年以来中国漁船2600隻が韓国の排他的経済水域(EEZ)内で越境操業し、数百人が逮捕されたとしているが、同紙の情報源によると今回事件が起きたのは朝鮮に近い韓国の西海五島沖だ。韓国のEEZ内ではなく、中韓両国の漁業協定で定められた暫定措置水域であるため、取り締り権の問題で争いがある」と指摘。「厄介なのは人命が奪われたことだ。中韓両政府としては落ち着いた交渉も、安易な妥協も困難だ。西海五島は元々韓朝間で争いが頻発し、武力衝突さえ数度起きている。今後、この海域の新たな焦点として中韓の漁業争いも加わる可能性が高い」とも報じた。
ある中国の学者が12日、環球時報の取材に述べたように、漁業紛争は中韓間の積年の問題であり、韓国側が中国側の漁民への管理不足を批判し続けるので、違法操業への処罰を強化した結果、逆に漁民の暴力的反抗が激化している。環球時報が山東省の漁港を取材した際、ある漁師は「中国近海では魚が捕れない。多くの漁師は正常なルートで韓国近海で漁をする術がないし、韓国側の罰金は重すぎるためやむを得ない」と述べた。