■東南アジアは米国の軍事介入を望まず
Thitinan Pongsudhirak教授は「アジア、特に東南アジア諸国は米国のアジア太平洋回帰を歓迎しているが、米国がどのような具体的行動に出るのか、なお観察が必要だ。特に軍隊・兵器・経費削減後、浮いた資源をどう利用するかが極めて重要だ」と指摘。米国は今後、アジアの同盟国に頼ることで、安保利益維持の負担を軽減するとの見方を示した。
米アジア協会のアンドリュー・ビロ氏は「米海兵隊のオーストラリア駐留、シンガポールの軍艦、および活発化するフィリピン、ベトナムの軍事協力は、アジア太平洋地域の平和・安定強化に寄与する一方で、衝突の危険性も高めた」と指摘する。
東南アジア諸国は、米国の過度の軍事介入によって中国との対立が誘発され、両大国間のどちらの側につくかを選択しなければならなくなる事態を望んでいない。ジュネーブ外交・国際関係大学院の張維為教授は人民日報の取材に「ASEAN諸国にとっては経済レベルでは中国が最大のパートナーだが、政治レベル、特に領土紛争では一部の国は米国が後ろ盾になることを望んでいる。だがASEANが最も望まないのは中米両国間の二者択一を迫られることだ。いずれの側との対立も、ASEANにとって利益にならない。このため米国の新戦略に対するASEAN諸国の姿勢は比較的複雑で、矛盾している。中米摩擦を利用して利益の最大化を図る一方で、中米が真に対立し、利益が損なわれることも望んでいないのだ」と指摘する。
米ジョージ・ワシントン大のアミタイ・エツィオーニ教授は「米国は依然中国を安全保障パートナーと見なすことができる。米国は中国の合法的権益に共同で反対するよう関係国をそそのかすのではなく、中国の主張を尊重し、国際法または交渉を通じて南中国海紛争を解決すべきだ」と述べた。
「人民網日本語版」2012年1月10日