オバマ米大統領は1月5日、国防総省で記者会見し、地上部隊の規模を縮小し、戦略の重心を転換することを重点とする新たな国防戦略を発表した。米国は予算面の負担を抱えるが、「軍事大国」の地位を維持し、欧州における軍事力を弱め、戦略の重心をアジア太平洋地域に移すことが強調された。同時多発テロ事件後に中東を監視し続けている米国は、オバマ政権の発足後にアジア問題の処理に真剣に取り掛かった。米国は中国の影響力の拡大と中国による経済への好影響を歓迎しながらも、東アジア地域の安全情勢への懸念を強めている。
オバマ政権の対中政策は3つの原則に基づいている。まずは中米協力の拡大。2つ目はアジアの同盟国および友好国との関係を強化すること。3つ目は所謂中国に国際法遵守を求めることだ。実際、米当局は近ごろ戦略の対象をアジアに変え、中米のアジアにおける動きが日本に両国との関係強化、外交での優位獲得のチャンスをもたらすことは間違いない。日本の野田政権はこのチャンスを逃したりしないだろう。
日本の外交方針が近ごろ再び討論されている。アジア回帰か、それとも米追随を継続か。後者を選べば日本の心配事は減るが、成長余地は限られる。前者を選べば、中国および米国との関係のバランスをどのように取るかという敏感な問題に直面する。米国で絶対優位を持っていた過去であれば、ためらうことなく米国を選べた。しかし、東アジア地域の地政学的、経済的状況の大きな変化に伴い、アジア回帰を選ぶことが主な流れとなっている。
日本がアジア回帰を進め日米同盟を弱めるという動きは、順調にいかないと見られる。米国との対等関係の維持は、まず日米地位関係の問題にかかわってくる。たとえば、沖縄の米軍基地問題については、両国政府の合意に基づいて進める必要があり、合意を簡単に変更することはできない。移設案の修正を強行すれば、日米関係は苦難に満ちるだろう。
また、日本はアジアで唯一の先進国で、国民は欧米と対等の立場でアジアを見下ろしている。そのため、アジア回帰にすぐに慣れることはできない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月16日