中日韓自由貿易協定(FTA)産官学共同研究は前向きな成果を上げて順調に終了した。3カ国は中日韓FTAは実行可能であり、3カ国に利益をもたらすとの認識で一致した。FTA交渉は年内に始まる見通しだ。中日韓FTAと東アジアの経済統合は新たな段階に入る。
3カ国の学術機関は、中日韓FTAの締結は経済成長を後押しし、庶民に確かな利益をもたらすと予測している。特に韓国にとっては利点が大きい。この見通しは3カ国の経済構造と協力の潜在力に基づくものだ。3カ国のGDPは計10兆2000億ドルで、世界全体の18.6%、東アジアの70%を占め、欧州連合(EU)の12兆ドルに迫っている。
だが3カ国間の貿易は3カ国の貿易総額の20%足らずで、投資も明らかに少ない。中日韓は発展段階が異なり、各々の比較優位が明確で、経済的には相互補完性が競争性を大きく上回る。東アジアの生産ネットワークの構築、東アジアの域内貿易・投資の拡大には非常に大きな潜在力がある。世界金融危機の衝撃は、欧米を最終製品の主要輸出先とし続けることが非常に危険であることを明らかにした。
中日韓FTA構想はすでに10年を費やしている。3カ国ともに国内に疑問や反対の声、軽視できない抵抗を抱える。FTAの大きな目的は市場の相互開放だ。これは必然的に、各国の敏感な分野や製品にも抵触する。例えば農産物は中国にとっては日韓への輸出で大きな利益を得られる可能性があるが、日韓にとっては全ての貿易交渉において最も敏感な問題だ。反対に工業分野、特に鉄鋼、石油化学、自動車など技術集約型の製造業では日韓が明らかに優勢で、一層の開放は中国の関連産業の発展に影響を与えるおそれがある。