日韓はともに貿易を信じ、重んじる国だ。ある意味、両国にとって外国との貿易は立国の柱だ。日韓両国にとって製造業の優勢は、これまで経済グローバル化の激しい競争の中、多くの産業分野でリードを維持することのできた鍵でもある
中国は間違いなく、世界最大の潜在力を持つ市場だ。この点は、中国の改革開放が日韓経済にもたらした成長の余地から見てとれる。貿易交渉には必然的に、得るものがあれば失うものもある。だが中日韓が巨大な市場を構築すれば、その結果は得失のどちらが大きいだろうか?ウィンウィンだろうか、それとも一人勝ちだろうか?これは複雑な計算をせずとも、明確な答案を出せる問題だ。
貿易の拡大は国家間の貿易不均衡を一層拡大するおそれがある。中日韓の一部民衆の懸念はここにある。だがこれは、どのFTA交渉でも避けられない問題だ。交渉自体が、利益交換のプロセスなのだ。短期的利益と長期的利益、業界の利益と全体の利益との関係をうまく調整するには、3カ国の知恵と先見性が試される。
WTOの規則や他の優遇貿易制度と比べると、FTAはより開放度の高い経済協力モデルであり、関わってくる要素も多い。一部の韓国人や日本人はFTAは単なる経済協定ではなく、政治にも関わる問題だと考え、中国と接近しすぎることで、西側の一部の国の不満を招くことを心配している。