第48回ミュンヘン安全保障会議は4日、2日目に入った。会議はキッシンジャー元米国務長官が司会し、中国の張志軍外交部副部長(外務次官)、米国のマケイン上院議員、シンガポールのウン・エンヘン国防相、オーストラリアのケビン・ラッド外相、フランスのバルニエ元外相が出席。「米国・欧州とアジアの台頭」に関する討論に注目が集まった。
自由討論の段階では、マケイン上院議員の激しい権幕が、会場をきな臭くした。張副部長は「関係各国は中国の発展を過大評価すべきではない。中国は依然発展途上国であり、民生の発展と都市化の推進を長期的課題として抱えている。平和的発展への中国の決意を過小評価すべきでもない。中国はかつて深く抑圧されたため、外部勢力からの内政干渉に断固反対している。他国の内政に干渉することもあり得ない」と述べた。
「アラブの春」について張副部長は「中国と西アジア、北アフリカ諸国は政策も具体的状況も異なる。実際には西側機関のある世論調査では、政府への民衆の満足度で、中国政府は70%以上の得票率で首位に立った。中国政府が民衆に支持されている理由は簡単だ。改革開放から30数年来、政治、経済、社会など各方面で急速な発展を遂げ、歴史上のどの段階をも上回る成果を上げたからだ。誰でもこうした変化を見てみれば、いわゆる『中国にアラブの春が訪れる』が幻想であることがわかる」と述べた。
マケイン上院議員は張副部長の発言を手を振って遮り、自分の発言を他国への内政干渉と捉えられたくはないと弁明する一方で、引き続き米国の価値観を振りかざし、中国の「人権問題」を非難し、米国の敷いた「普遍的価値」の道を歩むよう要求した。これに対してオーストラリアのラッド外相は、自身が30年以上中国に注目していることに触れ「現在の中国と過去の中国を比較すると、まず4億人が貧困を脱したことに気がつく。中国はソ連のように他国にイデオロギーを輸出してもいない。中国の民衆は個人の自由を十分に尊重されており、書店ではさまざまな題材の書籍を見ることができる。これは実は民主の体現だ。確かに、中国の価値観はわれわれの主張とは異なる。だからこそわれわれは21世紀の世界秩序について討論する必要があるのだ」と指摘。「中国の人権問題の扱いにおいて、われわれは一歩退き、その発展の歩みがどういうものなのかを見てみる必要がある」と強調した。