日米両政府は最近、野田佳彦首相の今春の訪米時に発表する安全保障共同宣言の内容について協議した。1997年に改定した「日米防衛協力のための指針」の再改定を柱に、中国の海洋戦略の抑え込みに重点を置くものだ。ここに至って、これまでずっと見え隠れしてきた日米同盟の対中指向性がついにはっきりとし、その戦略目標も冷戦終結後の曖昧な時期を経て、ついに明確化した。(文:廉徳瑰・上海国際問題研究院アジア太平洋研究センター副主任)
冷戦終結後、日米両国は共通の敵をなくしたために「困惑」し、米国は日本に居座り続ける理由を失った。これがいわゆる「日米同盟の漂流」時期で、同盟は先行き不透明な状態に陥った。
1996年の台湾海峡の緊張を受けて、日米両国は同盟関係の見直しに入り、1978年制定の「日米防衛協力のための指針」を1997年に改定し、防衛目標を「周辺事態」に定めた。いわゆる「周辺事態」とは朝鮮半島と台湾海峡を指すが、実質的には中国をにらんだものだ。だが当時、これは曖昧に処理された。はっきりした内容を備えながら、どっちつかずの曖昧な表現で日米同盟を「救済」すると同時に、東アジアからの米国の撤退を回避したのだ。
21世紀に入ると中国の台頭が次第に確実な趨勢となり、アジアにおける米国のプレゼンスにとって「脅威」となった。日本は米国の意を受けて新たな防衛大綱を策定。防衛目標を「南西諸島」へシフトし、「中国は地域と国際社会の懸念事項」と明記した。米国も「新アジア太平洋戦略」と、大仰なアジア回帰を打ち出した。これらはいずれも「日米防衛協力のための指針」再改定と日米共同宣言の柱となる。これによって、これまで覆い隠されてきた中国というテーマが公然たるものに変わる。
だが軍事的な備えが経済的な依存に取って代われるはずもない。日米両国は同盟を深化し、中国を戦略上の敵と見なしても、経済的に中国に頼る状況から抜け出すことはできない。したがって日米両国の「戦略家」の策定した「経済協力、軍事対抗」モデルは、あまり現実的でなく、情理にかなわず、誠実でないと受け止められている。
「人民網日本語版」2012年2月9日