■主導権の喪失
かつて「富裕国クラブ」と呼ばれたG8は、現在では「債務国クラブ」になってしまった。カナダとロシアが大口商品価格の上昇で利益を上げている以外、他の国々はいずれも債務に追われている。欧州は債務危機の暗雲が去らず、米国は債務リスクを抱えたままで、日本は震災で多額の負債を抱え、資金流出が加速している。まるで債務危機がG8最大の敵になったかのようだ。
08年の金融危機以来、G8サミットは経済を主要議題に上げることを故意に避け始めたようだ。G8サミットは本来、世界の重大な経済問題を解決する場だったが、2011年にはネットセキュリティ、西アジア・北アフリカ情勢、日本の震災復興などに力を注ぐようになった。
経済議題の稀薄化は、グローバル経済に対する主導権をG8が失いつつあることの反映でもある。英紙ガーディアンの指摘したように、自らの原則に従い、自らの利益を図る非西側の大国が世界の政治に対する影響力を日増しに強めている。現在のあらゆる趨勢を逆転しない限り、21世紀は日増しに「ポスト西側」の世界になる。
グローバル経済を協議する能力を失ったG8に、世界政治への影響力がどれほど残っているだろうか。西側経済全体の力が下降する中、英国メディアは「新興経済が台頭を続ける中でグローバルな問題を議論するには、G8はすでに時代に合わなくなっている」と直言している。
■反発を招く政治干渉