中国は1日、英植民地だった香港が中国に主権返還された「香港返還」から15年を迎えた。中国政府が社会主義体制の主権下で幅広い自由などを香港に認める「一国二制度」について、海外からも「返還後の香港の繁栄と安定につながった」と成果を肯定する声が上がっている。中国共産党の機関紙、人民日報が2日付で伝えた。
英ウエストミンスター大学メディア・アート・デザイン学部のヒューゴ・デ・バー教授(ジャーナリズム)は、一国二制度について、「常識を覆す革新であり、過去・現在にかかわらず中国の実務的な姿勢を最も顕著に現している」と指摘。かつて西側諸国から「一国二制度の成功はありえない」との見方が出ていたことについて、「伝統的なイデオロギー的思考から実行可能性と科学的根拠を備えた革新的実践へと中国がすでに移行したことを見落としていたからだ」と説明した。
米プリンストン大学の鄒至庄教授(政治経済学)は、香港の人々が一国二制度の成果を肯定している根拠として、香港返還の直前に香港経済の今後を悲観して香港からほかの国や地域に移住した人たちが、返還後すぐに戻ってきたことを挙げ、「香港は政治制度の面で安定と発展を保ち、経済面ではより大きな実績を残した」と指摘。「近年、香港金融業の目算しい発展は、海外の企業や投資家、中国大陸部の実業家、香港の住民など全てに利益をもたらし、地域・世界経済に大きく貢献している」との見方を示した。
5カ国語で発行する中国月刊誌「今日中国」アラビア語版の顧問ホサイン氏は、1997年7月にちょうど香港にいて、歴史的な瞬間を目の当たりにした。「香港の特色が失われるのではと懸念する声もあった」と返還当時を振り返った上で、「今からすれば余計な心配だった。この15年、香港は社会・政治・生活水準が向上を続け、住民の権利が出身地の別なく保障され、貿易・文化・観光などの分野で目覚しい発展を遂げた」と一国二制度の成果を肯定。「一国二制度の成功は、中国政府の対香港政策が正しかったことを裏付けている」との見方を示した。
「人民網日本語版」2012年7月3日