南中国海問題のASEAN問題化は世界を無理矢理巻き込む行為

南中国海問題のASEAN問題化は世界を無理矢理巻き込む行為。

タグ: ASEAN,南中国海

発信時間: 2012-07-10 13:37:45 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

フィリピンとベトナムは南中国海問題をASEAN全体の問題にしようと企てているが、中国の断固たる反対は必至で、多くのASEAN諸国にもボイコットされるだろう。願いを遂げられないうえ、みなと地域全体に災いを及ぼすのだ。本質的に世界を無理矢理巻き込む行為であることがその原因だ。(文:陳須隆・中国国際問題研究所国際戦略研究部主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載。)

第1に、ASEANを無理矢理巻き込む。フィリピンとベトナムが南中国海問題をASEAN全体の問題にしようとするのは、他のASEAN諸国を自分達の「戦車」に無理矢理乗せて、その盗人行為のために虚勢を張り、「小国が大国を侮る」ために加勢を得て、国際的にはったりをかまして詐欺をはたらくために雰囲気を盛り上げ、無い物ねだりのために外交カードを増やすことが目的に他ならない。だがこれは自らを欺く行為のきらいがある。領有権主張国以外の国々、南中国海問題によってASEANが引き裂かれることを心配する国々、戦略的に十分な冷静さを保っている国々、中国との友好協力関係を十分に重視している国々はみな、フィリピンとベトナムの「戦車」に無理矢理乗せられることを喜びはしない。

第2に、「ASEANプラス」の枠組みを無理矢理巻き込む。真っ先にその災難を被るのは「ASEANプラス中国」の枠組みだ。南中国海問題がひとたびASEAN全体の問題になれば、ASEANと中国の関係が無理矢理巻き込まれるのは必至で、双方関係の主要議題を南中国海が占めるようになり、その発展は必ずや当惑を抱えることになる。そしてこれは外部勢力があらかじめ仕掛けたわなにかかることに他ならない。このほかASEANプラス3やASEANプラス6などの枠組みもある程度巻き込まれる恐れがある。フィリピンとベトナムが今回のASEAN地域フォーラム(ARF)の一連の外相会議で南中国海問題の議題化を強く押し進めれば、「ASEANプラス」の枠組みが無理矢理巻き込まれるおそれがある。関係各国は警戒を保つべきだ。地域の協力プロセスと平和的発展の大局を、別の企みを抱く一、二の国に巻き込ませることがどうしてできようか?!

こうした国際的な巻き込みは必然的に3つの大きな悪い結末をもたらす。

第1に、ASEAN統合プロセスが損なわれる。ひとたび巻き込まれればASEANにとって南中国海問題は耐えがたい負担となる。ASEAN内部の団結と結束力に影響が生じるのは必至だ。しかもフィリピンとベトナムはASEANの巻き込みに成功すれば、さらに挑発の度を強め、南中国海情勢の緊張を激化させ、ASEAN統合に必要な平和で安定した外部環境がさらに破壊される。

第2に、ASEANと中国の協力関係が損なわれる。域外勢力が一段と容易に南中国海問題に手出しし、双方関係に亀裂と面倒をもたらせるようになる。双方の利益が損なわれ、両損の状態に陥ることは必至だ。相対的に言って中国は国際社会で挽回の余地がより大きく、別のルートを通じてある種のバランスを図り、損害を最低限に抑える能力をより持っている。

第3に、地域協力におけるASEANの地位と地域協力の前途が損なわれる。中国は一貫して地域協力においてASEANが主導的役割を発揮することを支持しており、喜んでASEANを「操縦士」の座に安定してつかせたいと考えている。だが米国の「アジア太平洋回帰」は善良な意思に基づくものではなく、単なる乗客の立場には甘んじず、副操縦士の座にすら甘んじない。南中国海問題に巻き込まれたASEANは「操縦士」の座を維持できず、脇役に追いやられさえする可能性が高い。ASEANが主導的地位を失えば、地域協力の元々の構造と秩序は打撃を被り、中米の戦略的すり合わせと調整が影響力を強めるようになる。

したがって南中国海問題をASEAN全体の問題にするのは非常に悪質な行為であり、非常に深刻な結果をもたらす。ASEAN各国は十分な警戒を保つべきだ。重要なステークホルダー(利害共有者)である中国がこれを放置して取り合わないことはあり得ない。南中国海問題をASEAN全体の問題にしようとするフィリピンとベトナムの企ては最終的に徒労だったと証明されるだろう。

「人民網日本語版」2012年7月10日

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