■アジアに必要な政治的枠組み
ウォルター・ラドウィグ氏:アジア太平洋がインド洋から北東アジアまでインド、中国、米国、日本等々を含む広大な概念であることは認めざるを得ない。アジア太平洋の範囲は余りにも大きいので、自国のみに頼って準則、路線、統治体制を定められる国はない。残念なことにアジア地域にはまだ、各国が交渉と協議を通じて意見を一致させ、どのようなガバナンスを望むかを決定できる政治的枠組みがない。アジア太平洋地域の多くの国は経済的地位も政治的地位もあり、1つの政治的枠組みで束縛するのは容易ではない。このため前進するには、現在のアジアの準則を確認するか、新たな行為準則・基準を定めて、対話と相互理解を深め、地域の長期的な安定と調和を確保する必要がある。そうすればわれわれアジア太平洋各国はみな受益者となり、新興市場国であれ、遠く離れた小さな島国であれ、経済成長と生活の質の改善の機会を得られるようになる。
アレクサンダー・ニール氏:現在の国と国との関係にはまだ一定の冷戦思考がある。多極化されたフォーラムを創造し、多極化の国々が集まって戦略的議論を行うことが重要だと考える。中国には一貫して主権維持の伝統があり、西側は別にこれを意外に感じてはいない。だが東アジア地域にはまだ、いかなる安全保障体制も地域の安全保障の枠組みもない。この観点から言って、釣魚島事件を受けて東アジア地域における体制の構築を導くべきだ。これはアジアの発展に信頼と手段を与えるうえでも、地域の大国が複雑な問題について柔軟で日常的な対策の仕組みの形成に努力するうえでも、非常に重要だ。
民族主義に「汎アジア化」の趨勢があることは言及に値する。そして極端な民族主義への最も良い対処策は、片隅へ追いやることだ。日本はこの方面で問題を生じており、歴史問題に対する誤った認識は無益だ。日本の政治エリートとメディアはこの方面で一刻も早く成果を上げるべきだ。日本右翼勢力を片隅へ追いやることが非常に重要であり、日本は国内の右翼勢力が声を上げるのを阻止するべきだ。日本と多くのアジア諸国との摩擦を解消する鍵はここにある。
「人民網日本語版」2012年10月10日