客観的にみると、OECDの中国に関する分析はそれほど確かなものとはいえない。中国の昨年のGDPは47兆1500万元で、米ドルに換算すれば7兆3千億ドルだ。同年の米国のGDPは15兆900億ドルで、中国の経済規模は米国の約40%にしかならない。一人当たり平均収入をみれば、中国は米国の16.6%しかなく、中米経済を同列に論じることはできない。同報告書は、50年後に中国は米国の60%になるとしている。
国家発展改革委員会の関係者がこのほど、中国経済の今年の成長率は7.5%に達し、2-3%ほどの米国経済の成長率を大幅に上回るとした。だが腐っても鯛だ。米国がグローバル経済を主導し、グローバル通貨の発行権を有するという環境の中、中国経済が4年で米国を追い抜こうと考えるのは、白日夢というほかない。中国が20年に都市部・農村の一人当たり平均所得を倍増させ、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的実現という壮大な目標を達成したとしても、中国の経済規模は米国にははるかに及ばず、世界1位にはまだ相当の距離がある。
中米間の経済的な距離はこれほど明確だ。、それではOECDはなぜさかんに中国を持ち上げるのか。ことわざにいうように、利益がなければ動くことはない。OECDが中国にしきりにこびを売るその背後には、経済予測業界の悲哀がうかがえるほか、人に言えないような側面もあるとみられる。