中国の発展は重要な戦略的チャンス期の中身と条件に大きな変化が生じているが、依然として得難いチャンスと有利な条件を備えている。中央経済工作会議のこの基本的判断は、中国の新指導部の理性と知恵をはっきりと示すものだ。事実上、正しい政策の鍵は挑戦に目を向けると同時にチャンスも知ることにある。(文:金燦栄・中国人民大学国際関係学院副院長)
外国には長年来、中国の衰退を唱える思潮が常にある。彼らは中国の直面する一連の厳しい試練を単純に羅列するのが常だ。著名な経済学者、ガルブレイスはかつて「人類の愚かさの1つは、悲観主義を知的優秀さと同一視することだ」と皮肉った。
中国の直面する試練を列挙するのは難しいことではない。例えば国内では経済の減速、地方債務、貧富の二極化、深刻な汚職、環境の悪化、国外では世界経済の震動、海外市場の収縮、周辺の安全保障情勢の緊張等々だ。こうした困難を前に第18回党大会の打ち出した「試練とチャンスが併存し、チャンスが試練を上回る」は単なる政治的表明ではなく、正しい判断だ。
世界の大多数の国と比べると、中国は少なくとも3つの点で依然優位にある。第1に「規模の天稟」がある。広大な陸地面積、海洋領土、EU全体の3倍近い13億人の人口規模。中国は比類なき「抗危機」能力を備えている。次に中国の歴史は厚く、近代の難航した現代化および経験や物質の蓄積が、次の段階の現代化推進に良好な基盤を形作っている。そして最も重要な点として中国社会には現在、現代化プロセスを逆行させないのに十分な現代的要素がある。政治的には新中国の成立によって中国は国内の基本的統一と団結の共通認識を守る能力を持つ現代的政府を手に入れた。第18回党大会は、この政府が政治権力移行の制度化を確立し、その合法性が一層完全なものになったことを示した。経済と科学技術分野でも急速な発展を遂げた。
これと同時に、中国には少なくとも4つの把握すべき新たなチャンスがある。