南中国海情勢は緩和へと向かっているというのに、フィリピンは逆行している。フィリピンによる国連機関への狡猾な告げ口は、南中国海問題の国際化を企てるものであり、対中関係を悪化させ、フィリピン自身の利益を損ない、地域の安定を破壊するだけで、何ら利点はない。
フィリピンはこのほど、南中国海問題での中国との紛争を国連の関係機関に提訴した。フィリピンは中国の南沙(英語名・スプラトリー)諸島の一部の島や礁を不法に侵奪・占拠しておきながら、今度は国連で偽りを語り国際世論を惑わそうとしている。当然のことながら、望むような呼応を得ることはできない。
中国は南沙諸島およびその周辺海域に対して争う余地のない主権を有しており、これには十分な歴史的根拠、法理上の根拠がある。中国はフィリピンとの関係および地域の平和・安定の大局に立ち、両国間の協議・交渉を通じた係争解決に終始尽力している。これは中国側の極めて大きな善意と誠意を示すものだ。直接関係する主権国間の交渉によって係争を解決し、問題の複雑化や拡大化を招く行動を控えることは、「南中国海における関係国の行動宣言」の重要な原則と精神であり、中国とASEAN諸国の共通認識でもある。南中国海係争をどう解決すべきか、フィリピン当局は分かっていないわけではない。自己正当化のために「南中国海における関係国の行動宣言」を取り上げるのは、自分で自分にびんたを食らわせる行為ではないのか?
摩擦を激化し、もめ事を引き起こすことが、問題の解決にプラスとなることはあり得ない。黄岩島(スカボロー礁)事件発生以来の情勢の推移を振り返れば、フィリピンは南中国海問題の国際化を図って騒ぐたびに受け身に陥っていったことがわかる。フィリピンはもめ事を引き起こすことの結果を知っているからこそ、びくびくしながらもめ事を引き起こす一方で、両国間の貿易に悪影響が及ばぬよう仲裁を望んでいるのだ。中国は「近隣国と仲良くし、近隣関係を安定させ、近隣国の経済成長を促進する」を近隣外交政策としているが、核心的利益に関わる領有権問題で無原則に譲歩することはあり得ないということを、フィリピンは理解すべきだ。