麻生太郎副総理兼財務相が5月の大型連休中にインド訪問を検討していることが3日、分かった。麻生氏はシン首相と会談し、年内に予定する首脳会談の地ならしを進め、海洋安定や航行自由の重要性を確認するなど「対中戦略」も擦り合わせる。インドは自由と民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有しており、安倍晋三首相が掲げる「価値観外交」の本格化を象徴する外交日程となる。3月4日付産経新聞が伝えた。
麻生氏の訪印は5月2日からの予定で、デリーでのアジア開発銀行(ADB)の年次総会に出席する。
麻生氏は外相時代、「自由と繁栄の弧」構想を唱え、その中核にインドを位置づけただけに、シン首相との会談を重視。「戦略的グローバル・パートナーシップ」の推進を確認する。インドはアジア最大の民主主義国家で、安倍政権が価値観外交を展開する上で欠かせない国だ。日本とインドには、「中国の脅威」にさらされているという共通点もある。中国はインド周辺でも海洋進出の拠点づくりを進め、今年に入り、パキスタン南西部のグワダル港の運営権を中国企業が掌握したことが判明している。
安倍首相は東南アジア歴訪と訪米に続き、3月下旬には来日する欧州連合(EU)首脳との会談を予定しており、5月には中東を訪問予定だ。一連の外交日程から浮かび上がるのは、東南アジアから欧州にいたる国・地域との価値観外交を通じ、中国をけん制する狙いだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」