台湾の漁師がフィリピン公船に射殺されたことで台湾中に激しい怒りが広がり、各界から抗議と非難の声が上がり続けている。台湾とフィリピンのネットユーザーは互いに相手の政府のウェブサイトを攻撃し、硝煙なきネット大戦を繰り広げている。
5月9日、台湾漁船「広大興28号」が鵝鑾鼻の南東約160海里の地点で操業中、フィリピン漁業・水産局の公船に1時間追跡され、銃撃を受けた。船員の洪石成さん(65)が被弾して死亡したほか、船体は50カ所余り被弾し、設備が著しく損壊した。
台湾当局によると事件が起きたのは台湾とフィリピンの「排他的経済水域が重なる水域」で、双方間に漁業協定はない。台湾の渉外当局は「いかなる状況であれ、フィリピン公船は丸腰の台湾漁船を攻撃し、深刻な損壊を与え、船員を死亡させるべきではない」と表明した。
台湾メディアによると、近年台湾漁船がフィリピン船に遮られ、金品をゆすり取られる事件が相次いでいる。2006年1月には台湾漁船「満春億号」が蘭嶼南東沖でフィリピン船の略奪に遭い、銃撃を受けて1人が死亡、1人が負傷した。事件は台湾で起訴されたが、フィリピン側の犯人が出頭を拒み、うやむやに終わった。
今回再び漁師が射殺されたことで、台湾各界に怒りが広がっている。台湾地区の指導者・馬英九氏は「粗暴かつ冷血な行為」としてフィリピン側に謝罪、犯人の処罰、賠償を求めた。台北市の◆龍斌市長はフィリピン側の暴力行為を厳しく非難すると同時に、近く予定される端午の節句のドラゴンボートレースへの参加の拒否を含め、フィリピンの都市との交流活動の停止を発表した。また、高雄と台南の民意の代表が大衆を率いてフィリピン国旗を燃やしたほか、マニラ経済文化事務所前で不満を表明した。