梁啓超先生はかつて中国には3つの地位があると定義した。中国の中国、アジアの中国、世界の中国だ。戦後英国も英国の英国、欧州の英国、英連邦の英国という3つの地位を反映した外交を積極的に展開してきた。つまり中英関係には3×3=9つのモデルがある。中英、中国と西側、世界という中英関係の3つの大きな組み合わせは、外交関係の対等性を強調して初めて現実的意義を持つ。この3つの大きな組み合わせは、中英協力には3つの大きな戦略効果があることを示している。(文:王義◆(◆は木へんに危)・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学EU研究センター副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1に、相互補完協力のモデル。産業革命の発祥地である英国はインフラが老朽化し、産業の空洞化が深刻で、4分の3が金融サービス業だ。一方中国は新型産業化国で、高速鉄道や原発などインフラ分野で後発組としての強みを持つ。英国が昨年末に発表したインフラ計画は、インフラ投資を年330億ポンド増額する方針を打ち出した。だが債務危機と金融危機の圧力に苦しむ中、無い袖は振れないのは明らかであり、中国としては加熱する国内インフラ投資を海外に向ける千載一遇のチャンスだ。
英国はその発達した金融サービス業と国際金融センターとしての地位から、中国の人民元の国際化、金融サービス業の発展にとって天然の協力パートナーだ。ロンドン証券取引所に上場した中国企業は51社、株式時価総額は300億ドル近くに達する。中国人民銀行とイングランド銀行は今年6月、2000億元の通貨スワップ協定を締結した。これは中国と主要先進国との間の初の通貨スワップ協定だ。英国の人民元オフショア取引センターとしての輪郭が現れ始めた。
第2に、中国と西側の協力の模範。キャメロン英首相は訪中を前に、英国は西側世界最大の中国の支持者になるとして、中国・EU間の新たな自由貿易協定締結を呼びかけた。キャメロン首相の姿勢は時と実践による検証が必要だが、すでに一部は現実による裏付けを得ている。欧州債務危機の下、EU諸国は需要が縮小し、輸入が減り、保護貿易主義傾向が激化した。だが中英貿易はこうした困難な状況の下でも、安定的成長を維持した。中国側の統計によると、2012年の中英の製品貿易は前年比7.5%増の631億ドルに達した。このうち中国の対英輸出は4.9%増の463億ドル、英国からの輸入は15.5%増の168億ドルで、増加幅はEUの主要貿易相手国の中で最大だった。