日本の与党が先日招集した外交と防衛に関する懇談会は軍備発展の指針となる「防衛計画の大綱」と国家安全保障会議による外交・防衛政策策定の基礎となる「国家安全保障戦略」を了承した。安倍氏はこの文書には「歴史的」意義があると特に強調した。われわれにとって確かにその意義は、注意深く味読するに値する。(時永明・中国国際問題研究所副研究員、海外網コラムニスト。環球時報掲載)。
第1に、日本の防衛思想に歴史的変化が生じるとみられる。「防衛計画の大綱」は無人偵察機、米国の開発した新型輸送機MV22オスプレイ、イージス艦などハイテク軍事装備を増やすとした。その背後にある真の意味は、日本の国防予算が安定型から着実な増加型へと転換するということだ。安倍政権は来年からの「中期防衛力整備計画」で、予算総額を23兆5000億円から24兆9000億円へと増やす計画だ。これは巨額の負債を抱える財政難の中で、軍事費は5.6%増加するということを意味する。もしこれが日本の国防政策思想の根本的転換であるとすれば、確かに歴史的意義を持つ。
第2に、日本の軍事作戦体系を調整し、自衛隊の一元的指揮・調整能力を大幅に強化する。陸上自衛隊を一元的に指揮する「陸上総隊」の新設など組織体系上の調整だけでなく、陸海空の統合指揮と協同作戦を強調。また、部隊の機動能力を強化し、「南西諸島」に迅速に展開できる機動師団と島嶼作戦に用いる水陸両用部隊を新設する。これによって日本と米国の統合エアシーバトルの協同能力が高まるだけでなく、日本の軍事力の海外展開能力も高まる。
第3に、恐らく最も政治的意義を持つのが、中国を「対応」目標として明確化したことだ。文書は「南西諸島」を軍事力配備の調整の対象として明記し、中国の正常な海上活動を対応の対象としたうえ、悪意をもって中国に「力を用いた現状変更」のレッテルを貼り、「冷静かつ毅然として」中国に対応していくと言明した。長期的に見ると中国と戦略的互恵関係の発展を図る必要があると曖昧な言及はしたものの、現実に示している対抗姿勢がはっきりと盛り込まれた。したがって、日本の今後の外交・防衛政策の指針となるこの「歴史的」文書が中日関係に「歴史的」害を与えることも不可避だ。