大西広・慶応大学経済学部教授によると、日銀が11月に発表した統計では企業物価指数が前年比2.7%増加し、2%の目標を達成した。だがその最大の原因は円安による輸入物価の上昇だ。輸入物価は前年比16.9%上昇し、輸入品を購入する消費者、輸入飼料を使用する畜産業者、石油燃料を使用する輸送業者と漁師に大きな打撃を与えた。庶民と輸入業者の利益を犠牲にすると同時に、輸出企業は大きな利益を上げた。来年の消費増税後、一般市民の負担はさらに増え、消費はさらに落ち込むと見られる。
■強硬政策で支持率急落
安倍氏は就任当初は集団的自衛権行使の地ならしとして憲法9条改正をもくろんだが、国民の強い反対に遭って作戦を変更し、憲法解釈の変更による集団的自衛権の解禁を愚かにももくろみ始めた。12月17日には国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を閣議決定。これらは防衛・安保分野を全面的にカバーする綱領的政策文書であり、日本の今後5~10年間の軍拡・戦争準備計画に明確な行動指針と政策保障を提供すると同時に、日本が平和憲法の制約を脱して、再び武力によって他国の領土を乗っ取るための地ならしをした。24日に閣議決定した2014年度予算案では、防衛費は前年度比1310億円増の4兆8848億円にも達し、2年連続の増加となった。
安倍氏は以前、侵略戦争と植民地支配について反省とおわびを表明した村山談話を見直す方針を表明。4月22日の参議院では「村山談話をそのまま継承しているわけではない」と表明し、翌日には「侵略の定義は、学界的にも国際的にも定まっていない」との荒唐無稽な発言をした。世論の大きな圧力を受けて、安倍氏は5月15日、村山談話について全体として受け継いでいくと述べたが、村山談話の核心である過去の侵略戦争と植民地支配に対する反省とおわびを継承するとは表明しなかった。しかも安倍氏は、日本がかつてアジア諸国に対して侵略と植民地支配を行った歴史をいまだに認めていない。