共同通信の分析によると、安倍氏は今年7月の参院選での圧倒的勝利を受けて政権掌握に対する「自信」を強め、経済立て直しとデフレ脱却を優先する当初の「安全運転」路線を変更して、「国家安全保障会議」創設や「特定秘密保護法」制定といった保守的色彩を帯びた強硬政策を推し進め始めた。特定秘密保護法に対して世論は安倍氏の想像を超える反発を示し、支持率は急落し、首相に返り咲いてから1年で状況には微妙な変化が生じつつある。
■遠交近攻は一方的願望
安倍氏は就任から1年で29カ国を訪問。ASEANの全加盟国だけでなく、米露など大国も訪問した。安倍氏はアベノミクスを売り込んで新市場と安定的エネルギーを探し求める一方で、「価値観外交」を大きく掲げて中国封じ込めに周辺諸国を引き込もうとした。アナリストによると、安倍氏の「遠交近攻」策略に国際社会は賛同していない。東南アジア諸国の大多数は日本の技術と投資には歓迎を表明するが、中国に共同対処するとの日本の「招待」に対しては「避けて語らず」だ。同盟国である米国でさえ、慰安婦や憲法改正の問題における安倍内閣の右傾化に繰り返し懸念を表明している。
天木直人・元駐レバノン日本大使は11月11日「アジア諸国との関係が悪ければ、たとえ1カ国との関係が良くても、日本に未来はない。アジア諸国との関係をきちんとできない安倍晋三氏は日本の首相として不適任だ」と表明した。
纐纈厚・山口大学副学長は人民日報の取材に「日本は憲法の原点に立ち返り、日米同盟と武力に頼るのではない真の平和外交を構築して、アジアの各隣国の信頼を得る必要がある。安倍氏は就任から1年間、最も重要な隣国である中韓と首脳会談を行っていない。こうした不均衡な外交政策は真の外交では決してない。首相に返り咲いてからはずっと外交『不在』状態にあると言っていい。この状態から脱するため、非同盟、全方位的外交の構築が喫緊の課題だ」と述べた。