外交の孤立から脱するため、安倍政権は今回の会談を、「未来を見据えた日韓関係に向かう第一歩」にする必要があった。しかし安倍首相の戦略は、右寄りの立場を変えるものではない。安倍首相が上述した談話を発表すると、日本政府の報道官である菅義偉官房長官は、河野談話の再検証に関する作業を計画通りに進めるとした。一方では見直さないとし、もう一方では再検証すると表明し、極めて矛盾した態度だ。日本政府の意思表示は、おそらくオバマ大統領の訪日に合わせたその場しのぎの策略であり、歴史を尊重する誠意はなく、日韓関係も「未来を見据えた第一歩」を踏み出すことは困難と予想される。
韓国にとって、米韓同盟は外交の支柱であり、日韓関係を求める米国の声を無視できない。朴槿恵大統領の米日韓首脳会談の出席により、韓国は米国の顔を立てなければならなかった。また韓国側は、日本が河野談話を見直さなければ問題が解決されるわけではなく、問題解決には具体的な措置が必要と強調した。これには当然ながら、日本の歴史的な責任、慰安婦、領土係争、靖国参拝、教科書修訂など、日韓関係を脅かすさまざまな問題が含まれる。安倍政権はその準備をしておらず、日韓関係が短期間内に大きく改善されることはないだろう。
人々の対立を煽る米国の「リバランス戦略」は、日韓関係と中日関係を乱したばかりか、米日韓関係を乱す自殺行為となった。今や「悪霊」は瓶の中から放たれており、これを中に収めなければ、北東アジアに平穏は訪れない。(筆者:呉正龍 元中国駐外大使、中国国際問題研究基金会高級研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月28日