日本と中国との関係は、昨年末の安倍総理の<靖国神社参拝>をめぐって、中国側が、「安倍首相を歓迎しない、指導者達も今後は一切対話しない」と表明したように、国交正常化以後最悪の政府間関係に陥っている。(文:日本の鳩山由紀夫元首相。人民日報掲載)
私は、<靖国神社問題>については、第二次世界大戦、とりわけ「中国への侵略によって中国国民に多大な災難と損害を与えた責任を痛感し深い反省を表明した」1998年の「日中共同宣言」にてらしていえば、侵略に責任のあるA級戦犯を祀っている神社に、国の総理大臣はじめ、責任ある地位の政治家が参拝することは、わが国が中国と約束した文書を覆すものと受け取られることになる。政府間で交わした約束は必ず守らなければならないと思う。
歴史問題は、現在、日中間の敏感な政治・外交問題となっているが、これを解決するには、私ども先輩の両国の政治家達が知恵を絞って到達した日中関係についての<四つの政治文書>やそれに基づいた首脳間の政治的な合意に、解決の糸口を求めなければならない。四つの政治文書の精神は、「小異を残し大同に就く」ことで両国間の争いを適切に処理して、友好関係を妨げないようにして共通の利益を最大にすることにある。とくに日本の指導者がこの精神に立ち返ることが肝要ではないだろうか。
中国は、今、経済力・軍事力ともに国力を増大させている。この中国と喧嘩して、話合いをしないままで良いのか、それとも隣国である中国の動向をしっかり見定める上で、今すぐ結論が出ない問題は対話を通じて解決しようと努力するほうが良いのか、答えは明らかだ。緊張を高めることはお互いに凍結すべきだと考える。
日中両国は、隣国関係であり、対立すれば互いに傷つき、失うものはあまりにも大きすぎ、交流を深めれば互いの大きな利益となる。今、政府間の対話が断絶している状況にあっては、当面、両国民同士の民間交流を盛んにし、経済交流、環境問題、少子高齢化問題、友好都市間交流、青年交流など明日にでもできることを実行し、民間交流を重ねて、政府間の信頼関係の向上につなげていくことが喫緊の課題だ。
私は、日本、中国、朝鮮半島の将来は、互いの利点を活かして東アジア共同体を形成し、そのうえにアジア共同体へ発展させていく展望を描いている。だから、私は、日中関係の将来に大いなる希望を抱いている。それは、日中両国が互いに相手を必要とし、大切なパートナーとなりうる関係だと信じているからだ。(取材者:劉軍国)
「人民網日本語版」2014年4月9日