まず、中米の新型大国関係がほぼ構築されてから、日本が歴史問題で積極的に和解に取り組む重要性に気付いたとしても、時すでに遅しだ。中米関係には多くの不一致があるが、双方は構造安定に向けた努力に強い意欲を示している。量の蓄積が質的変化に至る速度は、人々の予想を上回る程に達するだろう。中米関係の構造がほぼ形成されれば、米国一辺倒の外交は、日本の国際的な地位を大幅に引き下げる。
次に、人道主義的な面から和解を直接進める努力は、現在すでにラストチャンスとなっている。慰安婦、労働者の強制連行、さまざまな悲惨な事件の生存者はすでに80歳以上の高齢者となっている。これらの人々は、日本が和解の外交を展開するため最良の対象である。これらの人々がなくなってからでは、日本が積極的に補償しようとしても、その対象が見つからなくなる。若い世代は、前の世代が返せなかった気持ちの「借り」を忘れられず、和解がより難しくなる。多くの歴史問題は、法的手段によって完全解決できるものではなく、人道主義の基礎に基づく気持ちの面の和解が必要となる。
それから、日本は自国の経済にまだ余力があるうちに、積極的に和解の外交を展開する必要がある。アジア諸国の経済発展に伴い、日本経済のアジアにおける存在感は、中長期的に見て低下の傾向を示す。著名なエコノミストのマディソンの試算によると、2030年の世界のGDPのうち、中国の占める比率は23.8%、米国は17.3%、日本は3.5%、インドネシアは2.0%、韓国は1.6%、オーストラリアは0.9%となる。日本は世界3位の経済体という今の国際的な地位を利用し、和解の外交を展開し将来に向けソフトパワーを蓄積するべきだ。10年後に必要性を認識しても、タイミングを失することになる。(筆者:張雲 新潟大学准教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年4月13日