ASEANは10日、ミャンマーで外相会議を開き、南中国海問題について声明を発表した。最近フィリピンが半月(英語名・ハーフムーン)礁海域で中国漁船を不法に拿捕し、ベトナムが西沙(英語名・パラセル)海域で中国側の掘削活動を不当に妨害していることから、ASEAN外相会議が南中国海について特別声明を発表したことに注目が集まった。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究所特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
声明は国連海洋法条約を含む一致して認められた国際法の原則に基づき、抑制を保ち、地域の平和・安定に影響を与える行動を控え、平和的手段によって紛争を解決し、武力の行使または武力による威嚇をせず、南中国海の平和・安定、海洋の安全、海と空の航行の自由を守り、「南中国海における関係国の行動宣言」の十分に実効性ある履行を図り、「南中国海における行動規範」をできるだけ早く妥結するよう南中国海をめぐる各国に呼びかけた。また、「現在の南中国海の事態の発展によって地域の緊張が高まった」との認識を示した。
ASEAN外相会議が南中国海問題について特別な声明を発表したのは今回が最初ではない。早くも1992年7月にマニラで開いたASEAN外相会議で「南中国海問題に関するASEAN宣言」を発表。3年後にブルネイで開いたASEAN外相会議はミスチーフ礁をめぐり中国とフィリピンの間に摩擦が発生したことを背景に「南中国海の最近の情勢に関する声明」を発表した。その後のASEAN外相会議、ASEAN首脳会議でもほぼ毎年南中国海問題が多かれ少なかれ取り上げられてきた。
南中国海問題は本来、中国とASEANとの問題ではない。中国とASEANの一部の国による、南沙(英語名・スプラトリー)諸島の一部島嶼をめぐる領土争い、および一部海域をめぐる主張の重複がその本質であり、根本的原因であり、直接の当事国による調整と交渉を通じて平和的に解決すべきだ。ASEANの一連の会議は南中国海問題を議論するのに適切な場では決してなく、個別の国が南中国海問題を利用して中国とASEANの友好協力という大局を破壊することを許してはならない。ASEAN全体としては、1992年に南中国海問題について初めて声明を発表して以来、特定の立場を取らないと繰り返し強調し、ASEAN自身は南中国海紛争の当事者ではなく、どちらか一方の側につくことはないとしてきた。