シンガポールのシャンムガム外相はメディアの取材に「南中国海問題においてASEANは中立を保たねばならないが、それは沈黙を保つという意味ではない。われわれは沈黙し続けるわけにはいかない」と表明した。「中立だが沈黙せず」がASEANの利益との考えだ。ASEAN各国は南中国海問題をめぐり、置かれた立場、主張、利益が一致しているわけではなく、中国との関係の親疎も異なる。中国と南中国海の他の領有権主張国との間で、ASEANがどちらか一方の側につくのは困難だ。他方、ASEANは自らの団結と「信頼性」を顕示し、南中国海問題で責任を回避せず、なすべき事をなす主導性をはっきりと示す必要もある。
これにはASEANが「中立だが沈黙せず」のさじ加減をうまくする必要がある。フィリピン、ベトナムは南中国海問題にASEANを巻き込むことを企て、ASEANの重視する「団結」「協議による一致」によってASEANを強迫し、彼らの側に立つよう他のASEAN諸国に強要している。一方、中国政府は「南中国海での協力を強化する積極的な行動に対しては、中国は全力で支持する。南中国海の平和・安定を破壊する挑発行為に対しては、中国は果断な対応を取る。南中国海諸島およびその周辺海域に対する中国の主権を頭を下げて譲ることはあり得ない。中国は南中国海地域の平和・安定を維持する道と方法についてASEANと協議することはできるが、領有権と管轄権に関わる争いは領有権主張国の二国間協議・交渉によって処理する以外にない。ASEANの『団結』は地域の全体的利益を守れるか否かにあり、個別の加盟国の私利に加担したり、域外の国が中国を牽制する道具に成り果てるべきではない」と厳かに表明している。
南中国海問題について、ASEANは自らの「最低限の共通認識」を表明した。そして中国には自らの譲れぬ一線がある。南中国海問題をめぐる双方の主張が決して妥協の余地なき対立ではないことは事実が証明している。どうすれば南中国海問題をうまく処理できるか。中国が試されると同時に、ASEANも試されている。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年5月12日