アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が今日、開幕する。中国とベトナムの南中国海・西沙諸島をめぐる対立が激化する中、日本とフィリピンには「中国抑止、ベトナム擁護」の論調が早くからあり、米国の南中国海での中国抑止の歩調も加速していることから、中国は今回の会議で「包囲攻撃」を受けると予想されている。
しかし香港紙・南華早報は29日、「長年守りに回っていた中国が今年、軍事代表団のほか、上級外交官代表団を同会議に派遣した。その狙いは中国のアジア地域における発言権を守ることにある」と伝えた。
西側メディアは、中国外交部の傅瑩前副部長が外交官チームを率いて会議に出席、中国の外交官らの出席で会議の幅が広がると報じた。アナリストは「米日菲越との弁論でこの上級外交官チームは、専門性、イニシアティブを発揮するだろう」との見方を示す。発言が鋭く、答弁のテクニックを身につけている外交官の傅氏は昨年も同会議に出席した。昨年会議に出席した複数の関係者が、傍観的態度だった中国が積極的かつ活発になり、強硬な問題に触れ、自らの立場を弁護するようになるだろうと予想する。
今回中国代表として出席する、中国社会科学院米国研究所の周琪シニア研究員は29日、「中国の今回の会議に対する重視は理屈的なものではなく、実際的なものだ。これは政府外交や民間外交で経験豊かな高官や専門家が代表として出席し、焦点をしぼってそれぞれの役割を果たすことに体現されている。日本の安倍晋三首相の出席で今回の会議は中国や中日関係に関わるテーマがより敏感なものになるだろうが、これは想定内のことだ。おそらく中国側は安倍首相の発言に対してねらいを絞った柔軟な対応をするだろう」と語った。
今回の会議は中国と米国及びアジア各国が地域の安全保障問題について効果的に意思疎通することにつながると信じていると関係者は語る。日本側が中国代表団のメンバーに「アプローチ」したいことは中国側も知ってるが、具体的な形についてはまだわかっていないという。
「中国と英国、米国、シンガポール、日本の民間の交流ルートは非常にうまくいっている。おそらく大喧嘩の場面はないだろうが、不適切な言葉によるどんな包囲攻撃も中国側は恐れない」と同関係者は話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年5月30日