資料写真
米軍が空の偵察に使用する機種も豊富で、海軍のP-3C/P-8A対潜哨戒機、EP-3電子偵察機のほか、空軍のSR-71/RC-135戦略偵察機、無人機「グローバルホーク」がある。これらの軍機と艦艇は、写真撮影および画像化による偵察、動画・電子・光学の手段による偵察が可能だ。数百キロ離れた無線通信を傍聴し、数秒内に国家首脳の声を識別することもできる。そこから位置を特定し、信号情報・電子情報・弾道ミサイル情報を収集できる。相手国の軍機・艦艇および地上部隊の位置、沿岸部の海底の地形、水文気象など作戦に有益な情報を把握し、相手国の政策の動向、軍事力発展などの情報をキャッチできる。戦争が発生すれば、米軍は事前に偵察した情報に基づき作戦を展開し、機先を制するだろう。
米軍機・艦艇の中国に対する偵察は近距離で行われており、大きな脅威となっている。米軍機は中国の12海里の領海線に沿って飛行することが多い。米国の測量船・監視船は、中国の海岸から約40海里(約70キロ)離れた海域で活動を続けており、中国の領海線に事実上接近している。米軍機・艦艇の中国沿岸部における頻繁な接近偵察は、すでに中国の国家安全を著しく脅かしており、海と空の多くの事故・危機の原因にもなっている。最も深刻なケースは、2001年4月1日午前に発生した事故だ。米海軍のEP-3電子偵察機1機は、海南島から南東に離れた海域の上空で情報収集をしていた。中国の追跡・監視を行っていた軍機2機が、海南島から南東に104キロ離れた海域の上空を正常飛行していたところ、米軍機が急に中国機の方に旋回し、機種と左翼が中国機に接触した。中国機はこれによって墜落し、操縦士が行方不明となった。
中国は近年、中国沿岸部における米軍機・艦艇の広範囲・高頻度の接近偵察が、中米両軍関係の発展における3大障害の一つになっており、中米の海と空の軍事安全を脅かし、突発的な事件を引き起こしうる根源になっていると指摘してきた。米国は大統領、国防長官、各軍、指揮官に至るまで、中国を敵視せず、アジア太平洋リバランスが中国を対象とするものではないと表明している。それならば米国はなぜ、中国に対してこれほど集中的に偵察活動を実施するのだろうか?米国はこの問題に回答する必要がある。米国が国際法を遵守し、中国に対する接近偵察を停止しなければ、中米両軍関係の発展に向け良好なムードを形成できない。(筆者:張軍社 海軍軍事学術研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年8月25日