多くのアナリストは、このような非軍事同盟(他にも中国とアフリカのパートナーシップが含まれる)が、米国の戦略的・軍事的包囲に対して発揮する防御力は限定的だと判断している。しかし中国はこれにより、冷戦のような抑圧を受けず、経済の持続的な成長を維持している。経済の持続的な成長は、中国の総合的な国力の強化にとって、欠かせない要素だ。
EUは今日、中国を存亡を左右する軍事的脅威とは見なしていない。EUは戦略上、中米との間で中立を維持している。これは当然ながら、意識の中立ではない。「西側の母」であるEUは、価値観(民主、言論の自由、個人の権利)を犠牲にすることはない。中国の専制主義的な傾向を鑑みると、EUの中国との経済パートナーシップと戦略的な中立は、必然的な選択肢ではない。またEUの地位は、第一次・第二次世界大戦中の米国に比肩しうる。中国の戦略家は、これをはっきり認識しており、数百年に渡り磨いてきた腕で駆け引きをしている。EUの協力がなければ、米国は中国を完全に抑制するための資源・触角を手にできない。
この核の脅威に覆われた世界において、閻氏の戦略は敵と見方を新たに区別し、同盟を必要としない自然進化版となっている。中国は欧州のような技術・経済の巨塔と経済・貿易パートナーシップを維持し続ければ、自国の軍事力と核兵器により生存し続けることができる。これは意外にも、EUに世界の平和・安定促進の重要な役割を担わせている。中国が孤立していることが問題なのではなく、EUの地政学的な友好が重要なのだ。第一次世界大戦から100年後、欧州が再び世界の安定をコントロールするとは、誰が予想できただろうか?
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月5日