首脳会議開催の前から、世論が先行している。アジア太平洋経済協力(APEC)会議非公式首脳会議開幕前から、すでに国際世論の視線は北京に向けられており、ましてや中米首脳会談は注目の焦点となっている。近く開催される習近平国家主席とオバマ大統領の会談に、世界は多くの期待を寄せている。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
「時勢が英雄を生み出す」と言うとすれば、時勢は会談も成就させる。昨年6月の米カリフォルニア州サニーランズでの会談は、中米関係にとって重要な1ページとなった。その時、就任後間もない習主席と再任後間もないオバマ大統領は初めて顔を合わせた。両政府はほぼ同時に新たな任期に入り、共に相手の内政・外交政策の考えを深く理解することを差し迫って必要としており、二国間やグローバルな重大な問題も双方による議論を少なからず必要としていた。両首脳は中米の新型の大国関係の構築に共に努力することについて共通認識にいたり、中米関係発展の基調を定め、方向を明示し、ビジョンを描いた。両首脳の初会談は率直で誠意ある、実務的で内容のあるものであり、建設性、戦略性、歴史性を備えるものだったと言える。
それから1年余りが経った。中米両国は多くの分野の協力で新たな進展を遂げ、首脳その他各レベルの対話を相次いで行い、北京での首脳会談のために過去数カ月間数多くの準備と地ならしをしてきた。経済・貿易交流は引き続き拡大し、二国間投資協定交渉は非常に良いスタートを切った。長年、「欠点」と見なされてきた両軍関係も着実に改善し、好転の新たな兆しを見せている。両国は引き続き連携して世界金融危機の影響に対処し、世界経済の回復に努力し、いくつかの重大な国際・地域問題およびグローバルな問題について緊密な調整を行ってきた。その一方で、両首脳の初会談で確立された中米関係の位置づけ、方向、基調から米国の言動はそれている時があり、両国が新型の大国関係へと向かう道に起伏が生じていることも隠し立てするに及ばない。両国間の実務協力は増えたものの、戦略面の相互信頼は逆に低下する危険な兆候が生じている。