中間選挙後、米民主党は両院の支配権を失った。オバマ大統領は、レーム・ダック(死に体)化した大統領となった。レーム・ダック化した大統領は残り2年の任期内に、通常は外交によって活路を見出し、米国の歴史に「政治の遺産」を残そうとする。しかしながら、オバマ大統領は別の道を切り開き、外交ではなく経済に取り組む可能性がある。
オバマ大統領が今後2年、干渉にも負けず揺るぎない態度で米国経済の復活に力を集中できれば、これは懸命な選択肢となる。これは成功し、2期の任期内の成果となる可能性が高い。
オバマ大統領が経済に取り組む理由は3つある。
まず、米国経済が好転中で、米国経済の振興の基礎を固めている。米労働省が11月7日に発表したデータによると、米国の10月の失業率は5.8%に低下した。これは2008年の金融危機勃発以来で最低の失業率だ。
オバマ大統領は、米国の経済情勢が好転しているにも関わらず有権者が民主党を支持しなかったのは、米国経済が金融危機から回復してからも、多くの米国人に利益をもたらしていないからであることを理解している。米連邦準備制度理事会が今年9月に発表した調査結果によると、米国の国内総生産は2010−2013年に年率換算で2.1%増となったが、世帯収入(中央値)は5%減少した。低所得層の減少率はさらに拡大した。
オバマ大統領はスピーチの中で、「米国人全員が経済発展の利益を実感するまで、経済発展のため努力を続けなければならない。これは最も重要なことだ」と述べた。
次に、オバマ大統領が経済発展の推進で、共和党と意見を一致させる可能性が高い。米国の一部メディアはこのほど、環太平洋経済連携協定(TPP)と環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の交渉が、オバマ大統領と議会が協力する内容の一つになると報じた。国内のインフラ整備と税制改革に対して、双方は検討の意向を示した。ニューヨーク・タイムズは、「共和党と民主党は議会で、貿易、法人税、インフラ整備の3つの分野に興味を示している。オバマ政権と議会がこの3つの分野で意見を一致させれば、米国の経済発展に重要なメリットがもたらされる」と報じた。
それから、オバマ大統領はこれまで続けてきた政策を調整・変更することで、共和党から経済問題の支持を得ることを検討しても良いと表明した。
オバマ大統領は記者の質問に回答した際に、「医療保険制度改革に関しては、一つの基準を設定している。議会が医療保険制度改革の提案を破棄した場合、私は署名に応じない。共和党のリーダーが医療保険制度改革に責任ある修正意見を出し、法案がより効果を発揮できるようになるならば、非常に開放的な態度によりその主張に耳を傾ける。この改革は実施中だが、方針を改善できないわけではない」と回答した。
ゆえにオバマ大統領が共和党と、一部の経済問題で意見を一致させることもありうる。スピーチで口にしていたように、米国人全員が2016年に米国経済の回復による成果を手にできるようになれば、オバマ大統領にとって理想的な締め括りとなるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月28日