安倍首相は人事にも手を出している。NHKの松本正之前会長は、脱原発や米軍沖縄基地の問題などの報道で、安倍政権の不興を買った。その後NHK経営委員会は籾井勝人氏をNHKの会長に選出した。この三井物産元副社長は安倍首相の腹心で、ナショナリズムの傾向を支持している。籾井氏は慰安婦問題について、戦時中に「どの国もやったこと」と述べた。また当時起きた出来事は「現在の道徳的観念」ならば批判されるべきだが、日本は唯一暴力で女性を脅迫した国だと韓国が宣伝しているため、「事は複雑だ」と述べた。
報道内容について、安倍政権は裏と表からメディアに鞭を使い、批判の声を抑えている。自民党は2014年の衆院選の際に、各テレビ局に文書を出し、報道に対して具体的な要求を突きつけた。選挙を報じる際にいわゆる「中立と公平」を維持し、偏向報道をしないよう求めたのだ。自民党は表面的には中立を求めたが、これはテレビ局の批判を回避する狙いがあった。自民党の木原稔青年局長らは先週、安保関連法案が国民の理解を得られないことをメディアのせいだとし、批判的なメディアを黙らせるため圧力をかけ、広告料収入をなくすなどの制裁措置を講じるべきだと称した。
安倍政権の策は奏効したのだろうか?確かにある程度は、日本メディアの「去勢」に成功したと言える。一部の日本メディアは中国問題で、真相を顧みず勝手な宣伝を行っている。中国に関する報道も、悪い印象を与える内容が中心だ。
しかしメディアへの規制強化は、安倍政権の思い通りには進んでおらず、むしろ日本を非常に危険な境地に陥らせようとしている。
まず、安倍政権の報道規制の効果はごくわずかだ。共同通信社が先ほど実施した電話調査によると、回答者の63.1%が安保関連法案の今国会成立に反対した。また安保関連法案などの影響を受け、安倍内閣の支持率が39%に低下した。