文=陳言・日本企業(中国)研究院執行院長
全人代常務委員会は7月1日に新たな「国家安全法」を議決した。国家が安全の内容に明確なラインを引いたことは、中国が対外開放のペースを落とし始めたことを意味するのだろうか?
すでに開放された国が、重大な国内の革命なくして、安全法の制定という手段により保守に戻り、鎖国の状態に入ることはありえず、前例もない。
新たな国家安全法の制定、世界的な流れに
新たな国家安全法の制定は近年、世界各国で一つの流れになっており、中国だけのものではない。
まず、各国は自国の国家安全の具体的な法律を持つ状況下、インターネット情報技術の発展に伴い新たな国家安全法を制定し、特にネットワーク面で明確な規定を設けることで、法整備を進める必要がある。米国や日本は近年、新たな法律を制定した。これが原因で、米国や日本が国外資本の投資を拒み始めたとは言えない。外国からの投資を歓迎することは、彼らの既定方針であり、変化は生じていない。中国が国家安全法を制定したからと言って、国家レベルで対外開放を制限することはない。
次に、複雑化が進む国内外の環境において、明確な法律により制度の規定を行う必要がある。米国や日本は関連法を制定する際、特に情報の伝播そのもの、および伝える内容を明確に規定する際に国民の理解を得るため、また冷戦的な物の考え方によって、国家が置かれている環境がいかに深刻であるかを実情以上に誇張してみせ、国家が情報面でどれほど厳しい問題を迎えているかを多くの例で説明した。各国メディアもこれに協力し、多くの関連する報道によって、これらの意向に呼応した。これと比べ、中国が新たな「国家安全法」を制定したことには、差し迫った需要があった。伝播の手段から発言権の各方面において、中国は自国の行動基準を明確にする必要があった。