中米関係についての民意は実際のところ、西側の世論で伝えられているほどひどくはない。シカゴグローバル評議会が今年6月に行った世論調査によると、中国と「友好的な協力と交流を行うべき」と主張する米国市民は67%に達し、台頭しつつある中国を「牽制すべき」と主張する29%を大きく上回った。(文:王文・中国人民大学重陽金融研究院執行院長)
さらに重要なのは、5500億ドルにのぼる中米貿易は安定した成長傾向を保っており、両国の協力が着実に前進するためのバラスト(船のバランスを保つ重し)となると同時に、貿易グローバル化の持続発展を推進している。2014年、両国の航空旅客数は延べ600万人を超え、今後も毎年15%以上の成長を続けていくものと見られる。90以上の対話メカニズムが整備され、両国は政策レベルでいかなる時にも疎通が可能となっている。中国にある米国企業の利潤率は海外の米国企業のうち最高である。
数日前、ある米国の元高官が筆者に、言いたい放題の一部の声は米国の世論のほんの一握りにすぎないが、米国のハイレベルの政治に影響を与え、米国の対中政策に圧力と衝撃を与えていると語った。筆者はこれに対し、米国の政策決定層に不足しているのは、責任感ある政治的エリートと、世論への対応に長けた優れた対中政策を持ったチームだと答えた。
米国にとっては、責任感を持つということは、国際情勢に対する真剣な判断と、意識の自発的な調整とに反映される。米国の政治エリートは、中国はすでに世界の大国であり、良好な中米関係を築くことは、中国の利益であるだけでなく、米国の利益でもあるということを知るべきである。小手先の駆け引きは、ほんの一部の利益を得ることにはつながるかもしれないが、大局的に見れば失敗の可能性が高い。米国の政治エリートは戦略的な展望を持って、米国の対中世論を良い方向へと導いていく必要がある。