【イスラム国への攻撃を拡大?】
パリのテロ事件後、米シンクタンク「ブルッキングス研究所」のテロ対策専門家、 ブルース・リーデル氏は、「今回のテロ事件は、分水嶺となる事件だ。これまで人々はイスラム国が地域内に注意を向け、世界的な拡張には目を向けないのではと議論していたが、今回のテロ事件によりこの議論にはほぼ終止符が打たれた」と述べた。
米国の国内では、イスラム国への攻撃拡大を迫る声が強まっている。上院情報特別委員会のメンバー(民主党所属)は、「イスラム国が海外に拡張しているのであれば、米国は攻撃を拡大し、自分のことで手一杯にさせるべきだ」と指摘した。
米国メディアによると、米国はすでに同盟国と連携し、イスラム国への攻撃を拡大している。英国のキャメロン首相も、イスラム国への空爆を拡大する意向を示しており、議会と立場の調整に取り組んでいる。
【欧州が難民政策を引き締め?】
フランス当局が発表した情報によると、パリのテロ事件のうち少なくとも1人が、10月にシリア難民として入国した。ギリシャはフランスの要請を受け、10人の容疑者の身分を特定しようとしている。うち1人は10月3日にギリシャ国内に入り、EUの規定に基づきシリア難民として登録されたことが確認されている。
この情報は欧州で直ちに、難民問題に関する議論を起こした。特にドイツ政府は、国境地帯の監視措置を延長することを発表した。だがメルケル首相は、今回のテロ事件がドイツの難民政策を変えることはないと表明した。
しかし多くの観測筋は、欧州の難民に対する民意に変化が生じ始めていることに気づいている。1−2ヶ月前の報道では、難民が手厚くもてなされているという内容ばかりだったが、現在は「難民」に「危機」という言葉が結び付けられている。ドイツなどの政治家も、難民の殺到に抗議する多くの市民からのEメールを受信している。欧州の難民政策が短期間内に変化しないとしても、管理措置が厳格化されることはほぼ間違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月17日