カーター米国防長官はこのほど南中国海で任務遂行中の空母「ステニス」に乗艦した。この行動は注目され、AP通信などは南中国海における中国の「軍事建設」への不満を表明するものだと報じた。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
カーター長官が中国に圧力をかけるのは初めてではない。5カ月前にも南中国海周辺を航行する空母ルーズベルトに乗艦し、「最先端」の装備をアジア太平洋地域に配備して南中国海問題に対処すると公言した。
米国は昨年から南中国海問題について茶番を繰り返している。
武力の誇示がその要だ。米国はイージス駆逐艦「ラッセン」を中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺海域に不法に進入させた。B-52爆撃機を中国の島・礁近くに「誤って入れた」。さらにカーター長官も自ら参加して、米軍は居丈高な姿勢を示している。
「道義を説く」のも必須だ。米軍は中国に威力を示す一方で、いわゆる「航行の自由」の維持を強調し、中国に対して「国際法を遵守し」、平和的方法で争いを解決するよう呼びかけている。米国は「道徳的模範」のイメージを極力作ろうとしている。
様々な入念な演出は、実際には自国の利益のためだ。
第1に、直接の目的は南中国海での中国の活動を妨害することにある。米国は南中国海の領有権問題で特定の側につかないと口先では言っているが、実際の行動ではしきりに一方の肩を持っている。フィリピンなどの挑発行為に見て見ぬふりをする一方で、中国の正当な活動に対してはあれこれと妨害する。南沙諸島における中国の民用施設建設は、南中国海沿岸国と同海域を航行する各国船舶に資するものだ。米国はこれについて四の五の言い、灯台建設すら問題視している。対中防備の心理は明々白々だ。