米国では、被爆地である日本の広島への訪問は、常に敏感な話題とされている。しかしオバマ米大統領はG7サミット会期中に、現職の米大統領として広島を初訪問する方針を固めた。オバマ大統領はなぜ、「初めて蟹を食す人」になろうとしたのだろうか?
理想主義者の非核の夢
英BBCはホワイトハウスの報道官の発言を引用し、「大統領の広島訪問は、核なき世界による平和と安定のためのたゆまぬ努力だ」と伝えた。
就任したばかりのオバマ大統領は2009年、チェコの首都プラハの演説で、「核なき世界」のスローガンを掲げた。「核なき世界」は大きな魅力を持つため、オバマ大統領はこの理念を掲げただけで、2009年にノーベル平和賞を受賞した。オバマ大統領が招集する核安全保障サミットは、その後効果を発揮している。
中国社会科学院米国研究所外交研究室長の袁征氏は、「オバマ大統領は就任早々、核なき世界のスローガンを掲げた。世界で唯一の超大国、最大の核保有国である米国の大統領がこのスローガンを口にし、人々は当時おかしいと感じた。しかし私は個人的に、オバマ大統領は常に理想主義者だと思う。任期満了前でも、オバマ大統領は核なき世界を推進しようとしている。当然ながら、オバマ大統領はこのレガシーを残そうとしている」と話した。
オバマ大統領の今回の訪問は、核兵器に反対する関係者から注目されている。オバマ大統領が世界の核兵器を削減する方針をはっきり示すことができなければ、広島訪問は逆効果になるかもしれない。オバマ大統領は「核なき世界」の実現を呼びかけているが、その一方で米国政府は核兵器の更新に大金を費やしている。AP通信によると、米議会予算局は2015年1月、米国が10年間に渡り核兵器に3480億ドルを費やすと予想した。今後30年間で1兆ドル弱を費やすと見積もる人もいる。